ゾディアック事件の真相とは?暗号の内容や犯人に関する情報を解説

「これはゾディアックが話している」が口癖の犯人だから、一連の殺人をゾディアック事件と呼びます。ゾディアックとは天文用語というより、星占いで良く使われる黄道帯を指す言葉です。人殺しが好きと難解な暗号で告白するゾディアック事件の犯人。何故そう名乗ったかは不明です。

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目次

  1. 1ゾディアック事件とは?
  2. 21963年の未解決事件がゾディアック事件全ての発端か
  3. 3ゾディアックから警察・新聞社への接触
  4. 4ゾディアックとはどんな人物なのか?
  5. 5ゾディアック事件の暗号の内容
  6. 6目撃証言によるゾディアックの似顔絵
  7. 7本物のゾディアックは誰?次々出てくる容疑者候補
  8. 8ゾディアック事件のその後
  9. 9映画化もされたゾディアック事件
  10. 10チグハグな印象を受ける犯罪者の行動はなんだったのか

ゾディアック事件とは?

ゾディアック事件は、アメリカ合衆国で発生した未解決の連続殺人事件です。現在に至っても継続捜査中の未解決事件です。「ゾディアック」とは、英語で黄道帯を意味します。犯人が犯行声明文の中で「This is the Zodiac speaking.」(私はゾディアックだ)と頻繁に使用したことから、犯人の名称として知られるようになりました。

黄道とは、地球側から見て、太陽が地球を中心に回る大円の軌道を指します。黄道帯とは、その黄道の上下9度の幅をもたせ空の帯のことです。 獣をかたどった星座が多く通るので獣帯(じゅうたい)とも呼ばれています。

現在の見立てでは、黄道帯には13の星座があることになっていて、このうち「へびつかい座」を除いた12の星座を、黄道十二星座といいます。犯人がなぜ、それを自分の名に使用したかは謎です。

ゾディアック事件の概要

1968年~1974年にかけ、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ市内で、同一犯とみられる犯人によって、若いカップルを中心に4件発生し5人が殺害されました。犯行後、警察やマスコミへ犯人からと思われる、多量の犯行声明文を送りつけたことから、劇場型犯罪を狙ったものであるのことは明白です。

アメリカ国内でも、ゾディアック事件は特に有名な未解決殺人事件として認知されています。真犯人についての証言、主張が現在に至るまで数多く寄せられています。

1986年、ノンフィクション作家のロバート・グレイスミスは、事件について独自の調査を行い『Zodiac』という本を出版しました。彼はサンフランシスコ・クロニクルに風刺漫画家として在籍しているとき、ちょうど事件に遭遇しました。サンフランシスコ・クロニクルは犯行声明文が送られた新聞社の一つでした。

1963年の未解決事件がゾディアック事件全ての発端か

1963年6月4日午後遅く、アメリカのサンタバーバラ・ビーチにおける未解決殺人事件は、その後のゾディアック事件へと繋がる発端ではないかと多くの人が信じています。18歳のロバート・ドミンゴスと17歳のリンダ・エドワーズが日光浴をしている間、殺人者は彼らに接近しました。

二人は銃を突きつけられ、エドワーズはドンミンゴスを細いロープで拘束することを強いられました。彼らは逃げようとして、何度も撃たれました。ドンミンゴスは11回撃たれ、婚約者のエドワーズは9回撃たれました。銃撃の状況から、殺人者は銃器に関する、ある程度の専門知識を有していることが示唆されました。

遺体は空の小屋まで約30フィート引きずられ、エドワーズはドミンゴスの上に仰向けに置かれました。彼女の水着は鋭利なナイフのようなもので切り開かれ、胸が露出していました。殺人犯は役に立たない木のマッチで小屋に火をつけようとしました。

1968年未成年のカップルが射殺される

1968年12月20日、ゾディアック事件の最初の殺人事件が起きました。17歳の男性と16歳の女性の未成年カップルが、サンフランシスコ近郊のベニシアにあるハーマン湖の畔で射殺されました。

ゾディアック事件とは、犯人が自らをゾディアックと名乗って声明を発表した分の事件に限ります。自称37人を殺害した内の、5人と重傷者2人になります。

1969年カップルが銃撃され女性が死亡

翌年の1969年7月4日、ゾディアック事件の2度目の殺人事件が発生しました。19歳の男性と22歳の女性がヴァレーホ(カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアのサンパブロ湾北部にある都市)の駐車場で銃撃されました。男性は瀕死の重傷を負いつつも助かったようですが、女性は搬送先の病院で死亡しました。

同年カップルがナイフで襲われ女性が死亡

1969年9月27日、ゾディアック事件の3度目の殺人事件が発生しました。20歳の男性と22歳の女性のカップルが、ベリエッサ湖畔で覆面をした男にナイフで襲われる事件が発生しました。ナパ警察は、ゾディアックからの犯行声明の電話を受け、すぐに新たな犠牲者カップルを発見しました。男性は生存するも、女性は2日後の29日に死亡しました。

同年タクシー運転手が射殺される

1969年10月11日、ゾディアック事件の4度目の殺人事件が発生、今度はカップルではなく個人であり、なぜか窃盗も加算されています。29歳のタクシー運転手が、サンフランシスコ近郊のプレシディオハイツで射殺され、財布を奪われました。

ゾディアックから警察・新聞社への接触

画像をめくれば、ゾディアック事件の当時を再現した映画でのマスコミや警察のシーンが見られます。

2件目の殺人後の電話

1969年7月5日、ヴァレホ警察にゾディアック事件の首謀者、ゾディアックを名乗る男から電話がかかってきました。前述の2件(1968年12月20日と1969年7月4日)と、それ以前に行われた殺人、それらすべて自分が実行したと告白しました。

その証言の中には、犯人しか知り得ない秘密の暴露が含まれていました。その後、警察が指定された場所に駆けつけると、前日の被害者2名が発見されました。

警察と新聞社に送られた多量の手紙

1969年7月~8月にかけて、ゾディアック事件の犯人ゾディアックと称する人物から、サンフランシスコ湾域警察、タイムズ・ヘラルド、およびサンフランシスコにある2つの新聞社、著名人らに対し、一部暗号化された文面を含む多量の手紙が送り付けられて来ました。

タクシー運転手殺害後の電話

1969年10月11日、サンフランシスコ近郊のプレシディオハイツでタクシー運転手が、殺害されたその10日後、ゾディアック事件の犯人と思われる人物は、運転手の血が付着したシャツの断片を地元の新聞社へ送りつけ、警察署にも電話しました。

「○○が弁護に就いてくれるなら自首する」と名指しで伝え「TV番組で電話出演する」などと発言しました。その後、TV番組中で指名された弁護士立ち合いのもと、ゾディアックからの連絡を待ちました。犯人らしき者から連絡が来ましたが、結局のところ、ゾディアック本人が自首することはありませんでした。

ゾディアックとはどんな人物なのか?

正体不明としか言いようがありませんが、高度な暗号を駆使することから、知的な人物という見かたもあります。

高度な暗号のテクニック

暗号の他に犯行声明文には、二幕物のコミック・オペラ(英国式オペレッタ)の「ミカド」(ウィリアム・S・ギルバート脚本、アーサー・サリヴァン作曲による)からの引用などがあります。

ちなみに、最近AIによるゾディアック風のポエムが作られたそうです。もちろん、犯人を特定する何の参考にもなりませんでしたが。

異常な思想

思想とまで言っていいのか、暗号で送られてきたメッセージには、荒唐無稽なものもあるようです。自分が死んで楽園に生まれ変わったら、彼の殺した人間たちは、自分の奴隷になると表明している件があるのです。つまり、今やっていることは、将来の暮らしを豊かにするための投資活動だったのです。どこまで本気なのか分かりませんが。

イギリス訛りの英語

イギリス訛りの英語というのも、おかしな言い方ですが、それよりもゾディアック事件において、犯人がイギリス訛りだったという、まともな情報源が掴めませんでした。ウイキペディアにも、そのような情報は収録されていません。なので、この説は保留とさせてもらいます。

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ゾディアック事件の暗号の内容

ゾディアックが犯行声明文と一緒に送った暗号を解読したものは次の通り。
 

「私は人々を殺すのが好きだ、森で獣を狩る野生のゲームよりも楽しいからだ。何と言ったって、人間が最も危険な動物だからな」

これは、1932年のスリラー映画『猟奇島』のセリフから引用したとみられる言葉です。映画には、孤島の領主による人間狩りのゲームが描かれていました。暗号文の最後の18文字は、解読の結果、意味のある英語の配列にならなかったそうです。

犯行声明文の終わりに書かれたゾディアックのシンボルマーク、円に十字架は「ケルト十字」に酷似しているとされます。

目撃証言によるゾディアックの似顔絵

目撃証言から、このような出で立ちでゾディアック事件に臨んだものとされます。これはこれでかなり目立つ気がしますが。

似顔絵

瀕死の重傷を負って助かった人もいることから、目撃証言が得られたのでしょうが、なぜ完全に顔を隠さないのか、なぜとどめを刺さず中途半端に生き残った人がいるのか、まったくもって謎です。

実際はこんな感じか

上の絵で紹介したファッションは相当物々しいので、実際はこんな感じのものを被って犯行に及んだのでしょうか。それとも似顔絵があるところから、ゾディアック事件の一部は顔出しで行われたのでしょうか。

本物のゾディアックは誰?次々出てくる容疑者候補

画像をめくって2枚目からが、ゾディアック事件の嫌疑をかけられた人物たちの写真になります。Arthur Leigh Allen ⁣、Ross Sullivan、Rick Marshall、Richard Gaikowski、Earl Van Best Jrの順⁣となっています。

アーサー・リー・アレン

1990年代、ニューヨークでゾディアック事件を模倣した連続殺人が発生しました。結局この事件も被疑者の逮捕に至らず、IQ136を持つアーサー・リー・アレンが最有力容疑者候補とされました。当人の死亡後、犯行を裏付ける証拠物品が見つかったからですが、その後、手紙に付着していた唾液のDNA鑑定によって無実と断定されました。

カリフォルニア州南部の女性の父親

2009年、カリフォルニア州南部在住のある女性が、私の父親が真犯人で1983年に、すでにガンで死亡したと名乗り出ました。この人は以前にも、自分はジョン・F・ケネディの非嫡出子だ、などと無根拠な主張をしていたことから、虚言癖のある人物と見なされています。

アール・ヴァン・ベスト・ジュニア

2014年、ゲーリー・L・スチュワートが自分を捨てた父親のアール・ヴァン・ベスト・ジュニアがゾディアックだとする本を出版しました。日本でも翌年『殺人鬼ゾディアック――犯罪史上最悪の猟奇事件、その隠された真実』として公刊されました。

その理由として、犯人のモンタージュ画にがそっくりであること、犯行声明文に「ミカド」からの引用文があるが、著者の祖父はメソジスト派の海軍従軍牧師で、戦前まで青山学院を拠点に宣教師活動をしていたといいます。アールは両親と日本で暮らした過去があり、「ミカド」の一節をよく口ずさんでいたとの親戚の証言があるそうです。

戦時中に日本軍の暗号解読のミッションについていた祖父の影響で、アールも暗号作りの遊びを良くしていたそうです。被害女性たちが著者の実母に似ていること、指紋の傷が同じであることなどを挙げています。しかし、著書では、父親がゾディアックであるという客観的証拠は、まったく示されていません。

日本のテレビ

2017年、日本のテレビ番組「奇跡体験!アンビリバボー」では、DNAと筆跡の鑑定を行いました。警察に依頼した肝心のDNA鑑定の結果は、なぜか秘匿されていますが、民間に依頼した筆跡鑑定については、同一人物である可能性が非常に高いという評価を得ているそうです。

しかし、これまた科学的証拠はなく、全てを通して言えるのは顔が似ているとか、被害者女性(彼女たちの顔はバラバラに見えます)が実母に似ているとか、親戚の話とかいった程度。主観によるものしかありません。

欠席裁判で親の悪口言って金儲けができるなんて、結構な御身分です。アマゾンレブューでの、翻訳文の評判もあまりよろしくないようです。

デニス・レーダー

一番再最近では2015年、フロリダの元保安官代理キンバレー・マグガースは、各種の状況証拠に基づいて、「BTK絞殺魔」(The Boston Strangler)の犯人として知られる、服役中のデニス・レーダーこそがゾディアックであるという著書を発表しました。詳細については不明です。

ゾディアック事件のその後

1968年~1696年にかけてが、ゾディアック事件のピークでした。後は、まがい物や模倣犯、ただのイタズラに終わっています。実質、1969年に殺人行動は止んだものとみられます。ただ、本人の弁では殺害したのは37名としていますが、警察の公式発表では5人となっています。過去に遡れば、まだあるのかもしれません。

1974年の犯行予告の手紙が最後

1974年が、ゾディアック事件最後の動きとなります。ゾディアックと思しき人物から「今まで37人を殺害して来た、これらの事件を一層大きく新聞で採り上げないと、何か凄まじいことをやる」そう記された2通の手紙がサンフランシスコ警察へ届きました。しかし、ゾディアック絡みとみられる殺人事件は起きず、これを期に彼からの連絡は途絶えました。

事件の真相は藪の中

1966年10月に発生した未解決のシェリ・ジョー・ベイツ殺害事件があります。ゾディアックの関与が確定的である、1968年のサンフランシスコ近郊のベニシアのハーマン湖畔で未成年のカップルが殺された第1の事件から、約2年前に発生しました。現場に残された文章の筆跡などから、ゾディアックとの関連が示唆されています。

映画化もされたゾディアック事件

アメリカでは、ゾディアック事件のようなことが起きると映像化、映画化されるようです。調べて初めて知ったのですが、、日本におけるオウム事件もいくつか映画化されたようです。

しかし、どれも小粒なもので事件の全容に迫るものではないようです。被害者への配慮なのか、火中の栗を拾う勇気がないのか、予算の問題かは知りませんが。

「実録!!ゾディアック~血に飢えた殺人鬼の刻印~」

「ゾディアック」

全米公開時2007年3月、日本での公開2007年6月、監督はデヴィッド・フィンチャー、出演はジェイク・ギレンホール、ロバート・ダウニー・Jr、マーク・ラファロ、アンソニー・エドワーズです。

チグハグな印象を受ける犯罪者の行動はなんだったのか

ゾディアック事件の犯人は、暗号にみられるように緻密なのでしょうか。それとも、被害者を確実に仕留めないところからみて大胆不敵なのでしょうか。シリアルキラーでなくても、犯罪に手を染めるときの人の心理はアンバランスな気がします。

やらないことが一番合理的で安全なのはハッキリしています。リスクがあってもやらずにはおれない衝動に突き動かされなければ、一線は越えられません。

計算は抑えられない衝動の後にするのですから、いつだって、チグハグになります。犯罪者にとっての事の正否の顛末は、運の要素の方が大きいのでしょう。

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