2018年11月04日公開
2018年11月04日更新
大器晩成の意味や由来とは?
みなさんは「大器晩成」という四字熟語をご存知ですか?よく将来が待っている人や、若者などを指して使われたりする場面をよく耳にします。この記事では、「大器晩成」という言葉が持つ意味とその起源や由来についてご紹介していきたいと思います。
目次
よく聞く「大器晩成」ってどういうこと?
大器晩成という言葉自体は、昔からときどき耳にする言葉です。ですが、ちゃんとした使い方も怪しい上で、言われた側の当人はどう受け取っていいのか戸惑いが生まれることも少なくはないでしょう。
そんな四字熟語のひとつである「大器晩成」を徹底的に調べ上げましたので、これからご紹介していこうと思います。この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。
「大器晩成」の意味とは?
まずは、大器晩成という言葉の意味についてです。大器晩成には「大きな成功を成し遂げたり、その才能が開花するまでには、ある程度の時間が必要だ」という意味があります。
大器晩成の由来は、遡ること古代中国の春風時代にまとめられた哲学書である「老子道徳経」の41章からきています。ですが、元の意味での大器晩成は「大きな器は完全な器なわけではない」とされています。
簡単に言い換えるのであれば、「道のりは誰しもが見えるような安易なものではない」ということで、なんとも今より難しい使い方と解釈です。
「大器晩成」の類語
大器晩成の類語や同義語に挙げられる言葉の例としては、「遅咲き」「苦労人」などがあります。大器晩成という意味合いを込めて、普段会話の中で使われることが多いのは「遅咲き」でしょうか。「あの俳優は遅咲きだよね」「30歳にして遅咲きの歌手デビュー」などが頻繁に使われます。
大器晩成の類語は単語だけに限りません。ことわざでは「ゆっくり行く者が遠くまで行く」「ローマは一日にして成らず」などが有名でしょうか。どちらも「年月をかけて着々と努力を重ねた者が成功を成し遂げる」という意味です。なお、この2つのことわざはどちらもイタリアが発祥の地とされています。
「大器晩成」の対義語
大器晩成の対義語は同じ四字熟語で挙げるのであれば「栴檀双葉」があります。この四字熟語には「優れた才能を持っている人は、子どもの頃から優れた才能を持っている」という意味があり、知っていて損はない響きも綺麗な四字熟語です。
ことわざで挙げるのであれば「蛇は寸にして人を呑む」「十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人」がいい例になりそうです。どちらも「優れている人は幼い頃から他人と違ったところを持っている」という意味があります。
「大器晩成」の使い方《例文紹介》
意味などもしっかり理解したところで、さらにわかりやすく「大器晩成」の使い方を例文を用いて、いくつかご紹介します。実際に使用する例文を挙げることで、言葉の使い方などさらに理解を深めていきましょう。
「今はまだ目が出てないが、彼はきっと大器晩成するタイプだろう」
言い換えると「彼はまだ脚光を浴びてはいないけど、いずれ大成功する人物だ」といった意味の例文になります。苦労を重ねながらも脚光を浴びていないが、最後には大成功する人物だと伝えるその人を評価するポジティブな意味合いでの使い方です。
「彼女は大器晩成型だから、今は結果残せなくても仕方ないよ」
言い換えると「彼女は後にしっかり成功する人だろうから、今はまだそのときじゃないよ」という意味になります。なかなか結果を出せずに悩んでいる人に対して、その人を慰める意味合いでの使い方があります。
しかしながら、皮肉を込めた使い方をされる場合もたまにあります。努力を怠ってフラフラしているがために、結果を出せないでいる人に対して使用される例があることも忘れずにいましょう。
このように、いい意味での使い方や悪い意味での使い方など、シーンにおいて様々な使い方ができる大器晩成という言葉を覚えておいて損はないはずです。
大器晩成型の人の特徴【性格編】
ではここからは、大器晩成型の人に多い特徴やイメージをいくつかの観点にわけてご紹介していきます。まずは、その人の「性格」からわかる大器晩成型の人の特徴です。
何事にも真面目に取り組み誠実な人
何事にも真面目な性格だったり、誠実な人には自然と仲間や協力してくれる人が周りに現われるものです。成功を収めるためには、もちろん自分の力が一番大切ですし大きい要素とはなりますが、時には力を貸してくれる存在があってこそ成し遂げられる結果があることもまた事実です。
誠実に真摯に努力を積み重ねていく上では、やはりその人の本当の性格が出てくるものです。
努力をすることが苦に感じない人
大器晩成型の人に多く見られる特徴は様々ですが、その中でも特に多く見られる性格の特徴の一つがこちらになります。
思い描いている夢や成功への道はそう簡単なものではないと理解しているので、少しずつでも努力を重ねていける人が大器晩成型の人の特徴になるのは当然と言ってもいいでしょう。長い年月を要することを理解した上で、地道にその足を進めていける人がまさにそのタイプなのです。
好奇心が旺盛な人
好奇心がとても旺盛な性格で、何か新しいものを見つけるとすぐ手を出してしまう人は、大器晩成型の人のタイプに当てはまるかもしれません。
というのも、新しいものに手を出したり挑戦してみたりすることに年齢などは関係ないため「やってみたい」という挑戦の精神が何歳になっても大切で重要視されるからです。
もうそう若くはないものの突然人気になったり、成功を収めた人などが「遅咲き」とは言われながらも、「挑戦」に年齢は関係ないことを証明してくれています。あなたはどのような性格の持ち主ですか?
大器晩成型の人の特徴【行動編】
お次は「行動」から読み取る大器晩成型の人の特徴ですが、その観点から見てみても様々にあることがわかりました。ご紹介していこうと思います。
どのような状況に陥っても柔軟な対応ができる人
大器晩成型の人の特徴に共通して多いのが「物事に対して柔軟な対応ができる人」です。最初からなんでもできる人はそういるものではありません。様々な経験からどんな状況に置かれても焦らず、しっかりと柔軟に対応できる人が後に成功を手にするということでしょう。
頭の回転が早く、柔軟な対応でその場を動くことができる人は大器晩成型の素質があるかもしれません。そういう人とは一緒に仕事をしたくもなります。
コツコツと集中して確実に前に進んでいける人
「近道をしよう」「少しでも手抜きをしよう」と考えている人はあまり好ましくありません。まさに大器晩成という言葉があるように、成功を収めるのにそれなりの時間を要するのは当然だからです。
手を出した一つのことに集中できずに、他のことにすぐ目が移ってしまう人などはコツコツと努力を積んでいくことも出来ないことがその時点で目に見えてしまっています。
そういった面では、一つのことに対して力を注ぎこみながら、何か変化や兆しが見えるまで踏ん張ることができる忍耐力も大切なのかもしれません。
挫けても立ち直りが早い人
例え挫折しても、再度しっかりとまた立ち向かっていく姿勢を持っているのであれば、大器晩成型の人の特徴に大いに当てはまります。これは性格の面にも直結しています。すぐにくよくよしてしまう性格は、マイナスのイメージがつきがちです。
ここでまたことわざを例に挙げますが、「若い時の苦労は買ってでもせよ」ということわざとしての使い方もあります。「若い時の苦労は貴重な経験となり、必ず将来において役に立つ」というような意味になります。
大きな成功を収めるためには、挫折や失敗に恐れをなさずに逆にそれらを力に変えていくことがとても重要であるということです。
大器晩成型の人の特徴【考え方編】
3つめの特徴は「考え方」です。ここまでご紹介してきて最後の特徴になりますが、「考え方」ひとつで大器晩成型の人かどうかがわかると言っても過言ではありません。
発想力や想像力に長けている人
ふとした時に閃く能力が高かったり、ちょっとしたヒントを日常から得てアイデアを出せることは大器晩成型の人の特徴と言えます。発想力が成功へのカギでもあります。
たくさんのアイデアを出して試行錯誤しながら、年月と共に成長して頑張っていった人が最後に光を手にするのです。想像力を磨く努力をしてみてもいいと思います。
初心を常に忘れられずにいる人
一定の年月が過ぎると人は取り組んでいた事柄にモチベーションを無くしてしまい、手をつけなくなってしまいます。そんな中でも初めに立てた目標を見失わずに、ブレない軸を持って取り組み続けられる人が大器晩成型の特徴に当てはまります。
「初心忘るべからず」ということわざがあるように、始めた頃の真面目で真剣な思いを持ち続けることは大切であるとされます。
自分に対して厳しく物事を考えられる人
大器晩成とは、努力はしながらも今はまだ日の目を見ない人へ向けて使われることが多い言葉です。自分に厳しい人は、達成するべきゴールを遥か遠くに設定したりしていることもあるので、簡単に成功だと満足したりしないのがまさに大器晩成型の人の特徴でしょう。
大器晩成型の偉人・有名人
ここからは大器晩成型として知られる偉人や有名人についてご紹介していこうと思います。誰しもがみんな最初から順風満帆な人生を歩んでいないことがわかります。
大器晩成型の偉人
まずは、歴史上で活躍して多大な功績を残した偉人たちからのご紹介です。知らない人はきっといないでしょう。
徳川家康
徳川家康とは、織田信長と豊臣秀吉に肩を並べる戦国時代で有名な武将の一人です。幼少期には人質となり、解放後も織田と今川の両家に約11年こき使われる身分としてその人生を生きました。
そんな徳川家康が1600年にあの有名な関ケ原の戦いで天下を取ったのが60歳のときです。続けて62歳に征夷大将軍となり、江戸幕府を開きました。実に遅すぎた栄光ですが、ここにきて徳川家康はやっとその力を咲かせたのです。
「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」という徳川家の教訓があります。「人生はそう簡単にいくようなものではない。辛い時期も耐え忍ぶことが必要だ。」というようなことを意味しています。
「泣かぬなら泣くまで待とうホトトギス」で知られる徳川家康ですが、成功を勝ち取るためには待つことの大切さや忍耐力の大切さを理解しようと教えてくれているのでしょう。
伊能忠敬
伊能忠敬とは江戸の測量家として、日本全国地図を完成させたことで有名な偉人です。彼の歩みが以下になります。
50歳になってから突然と天文・暦学を学び始めます。その後の55歳より、日本各地を自分の足でまわりながら測量に励み、1日に歩いた距離は40kmとも言われています。こうして、完成させるまでに費やされた年月は17年にも及びます。
伊能忠敬の性格とは、厳格で根気強いと言われています。まさに大器晩成型の人の特徴の性格でしょう。このようにして、伊能忠敬は学びを始めたのが極端に遅くはあれども精密な日本地図を完成させたことで、まさに大器晩成を体現する偉人の一人となったわけです。
ネルソン・マンデラ
南アフリカ連邦出身の政治家であるネルソン・マンデラさん。正確な名前をネルソン・ホリシャシャ・マンデラと言いますが、具体的にどのような人生を歩んだのでしょうか。
アパルトヘイト政策という人種差別への反対運動をきっかけに、ネルソン・マンデラさんは27年間も牢獄での生活を余儀なくされてしまいました。一時は終身刑も言い渡されたネルソン・マンデラさんですが、当時の南アフリカ共和国大統領であるフレデリック・ウィレム・デクラークさん率いる政権によって、なんとかその長い牢獄生活から釈放されました。
結果、ネルソン・マンデラさんは、アパルトヘイト政策を撤廃したデクラークさんと共にノーベル平和賞を受賞しました。20代のころからアパルトヘイト政策に対して反対運動を行ってきてから、ここまでに至るまでに相当な時間を要したことはもうおわかりでしょう。
その後、デクラークさんの後継としてネルソン・マンデラさんは南アフリカ共和国の大統領にもなりました。南アフリカ共和国としては初の黒人大統領だったということです。また、このとき既に72歳だというから驚きを隠せません。
大器晩成型の有名人
大器晩成型の有名人に関しては、日本に絞ってご紹介していこうと思います。こちらもまた、知らない人はいないでしょう。
タモリ
1945年生まれ現在73歳のタモリさん。国民的番組「笑っていいとも!」や音楽番組「ミュージックステーション」の看板として、長年に渡りMCをこなしてきました。今や芸能界においては、居なくてはならない存在になってしまったほど人気があり有名ですが、タモリさんもまたいわゆる「遅咲き」でした。
タモリさんは学生時代に名門の早稲田大学に入学しますが、学費を滞納していたことを理由に退学。出身地である福岡に帰り、喫茶店のマスターや旅行代理店など様々な仕事を経験したといいます。
その後、芸能界入りのきっかけとなったのが漫画家として有名な赤塚不二夫さんです。才能を認められたタモリさんは、こうして芸能界で有名になっていく人生をスタートさせますが、この時点で既に30歳に突入していたということです。
20代で希望を捨てるのは早いかもしれません。やはり「成功」を掴むことに年齢は関係なく、何歳になっても遅くはないのでしょう。
福山雅治
現在は歌手に俳優、プロデューサーなどその活躍は多方面に渡り、絶大な人気を誇る福山雅治さん。今でこそ誰もが知る素晴らしいアーティストですが、多難な人生だったようです。
高校卒業後にすぐ、地元の電機会社に就職するも続かずに4ヶ月で辞職。当時所持していたバイクを売り払って20万円ほどを手にしてから、夢を追い求めて上京します。木材店で働きながら、日給8000円の給料でなんとか食いつなげる日々を過ごしていました。
そして1988年、現在の所属事務所であるアミューズのオーディションが目に止まり受けた結果、見事にオーディションに合格。翌年にシングル「追憶の雨の中で」をリリースしてデビューしたのです。このとき福山雅治さんもまた31歳で、30代に突入していました。
滝藤賢一
2人の大器晩成型の有名人を紹介しましたが、最後はこの方をご紹介しようと思います。最近は特に脚光を浴びていて、その名を一気に広めている俳優の滝藤賢一さんです。
滝藤賢一さんは俳優をしながらも、地上波のテレビドラマで見かけることはずっとありませんでした。俳優養成所に9年間所属しながら、舞台を中心に活動されていたからです。養成所を出た後は、俳優という本業だけでは食べていけることが出来ずに、アルバイトをしながらの生活を送っていたそうです。
ですが、2013年に社会現象ともなった経済ドラマ「半沢直樹」で、脇役ながらもその凄まじい演技力を見せつけて、ブレイクしました。俳優として諦めずに活動してきた積み重ねがいよいよ花を咲かせました。
ストイックな性格の持ち主で有名な滝藤賢一さん。役作りのためには体重を短期間で何キロも落としたり、他の役者さんのセリフまでしっかり頭に入ってるなどの話もあるそうです。
努力の積み重ねが成功への道!
いかがだったでしょうか。成功を収めることは必ずしもすぐにはできないということ、成功を収めるためにはそれの対価として、努力や時間をそれなりに要することがおわかりになりましたでしょうか。
大器晩成という言葉の使い方も理解できた上で大器晩成型になりたい人は、覚悟を決めて特徴に合った人になってみたり、惜しまずに努力を積み重ねていきましょう。