ロシア人男性・女性の名前の意味や由来!名前を一覧で紹介
ロシア人の男性・女性の名前にはどのようなものがあるのでしょうか。ロシア人の名前は日本人にとってはとても独特な響きに感じられます。ロシア人らしい名前と印象付けられるその原因は?今回はロシア人の名前をその由来や意味も合わせてご紹介いたします。
目次
独特な響きがあるロシア人の名前
ロシア人の名前は日本人にとってはとても独特な響きに感じられ、名前の響きだけでロシア人だとわかるという人も多いかと思います。今回はそんな独特な響きがあるロシア人の名前の意味や由来を男性・女性と分けて一般的な者についてご紹介いたします。
ロシア人の名前の特徴
まず、ロシア人の名前にはどのような特徴があるのでしょうか。ロシア人は名前の構成も他の国とは大きく異なるところが多く、歴史的背景から見てもとても特殊です。また、カトリックの多い国でもあるのでキリスト教や聖書由来の名前も目立ちます。
苗字→名前の順で表記する
ロシア語ではキリル文字と呼ばれるスラヴ発祥の独特な文字を使うので、キリル文字で書かれたロシア人の名前はとても独特に見えますが、実は日本と同様に苗字→名前と先に苗字を書く文化があり、アルファベット表記でもそのまま苗字から書くことが殆どです。
最後に「父称」をつける
日本人名と大きく異なるのが「父称」です。父称とは「(父親)の子」という意味を持つ言葉を名前の後ろに書くことで、ロシアでは「苗字 名前 父称」という順に名前が並んでいる構成になり、昔は王族貴族の文化だったものが現在では一般的に広まっています。
キリスト教由来の名前が多い
カトリックが多いロシアではキリスト教由来の名前や苗字が多いです。聖書から引用した神や聖人の名前を用いることが多いので、名前のバリエーションは日本と比べてもずっと少なく、学校や職場に同じ名前の人がいる、ということも珍しくありません。
名前は響き重視のものも珍しくない
ですが、かつてロシアがソ連だった頃、キリスト教を含め一切の宗教が禁止された時代がありました。その際キリスト教や聖書由来の名前も禁止されていたため、その際に人気が出た作家や響き重視の名前など、キリスト教由来以外の名前も多く広まりました。
語尾の終わり方に規則性がある
ロシア人独特といえば語尾です。「モロゾフ」「ドフトエフスキー」などロシア人特有の語尾の響きがある意味「ロシア人らしさ」を強調しています。ロシアでは最近では国際化の進みを受けて名前の多様性も広がっていますがこれらの独特な語尾は健在です。
男性名と女性名で特徴が異なる
語尾について触れましたが、この語尾は男性と女性で少し異なります。男性が「◯◯コフ」の場合女性は「◯◯エフ」など、響きの違いで男性か女性か、名前の字面を見ただけでもおおよそ判別をつけることができ、そこは日本とも共通する点であると言えます。
ロシア人の名前の付け方
それでは、ロシア人の名前のつけ方にはどのような特徴があるのでしょうか。こちらではロシア人の名前のつけ方についてご紹介いたします。ロシア人の方は名前をどう捉え、生まれてくる赤ちゃんのためにどのような名前をつけてあげるのか見ていきましょう。
名前は魔除けとしての考え方が強い
もともとキリスト教由来の名前を名付けることが殆どであるロシアでは、キリスト教の聖人や神話の神の名前を引用することで、その子が生きる上で聖人や神に守られる存在であってほしいという気持ちから名付けることが多く、魔除けとしての意味が強いです。
歴史的に見てもその意味合いは強く、苗字などにあえて「意地悪」など人の欠点を表す言葉を取り入れることで、人の悪の部分を名前として表に出して魔除けを行うという習慣もありましたが、現在ではあまり使われていない文化でもあります。
世相に合わせて引用する名前が多い
ですが、世相にあわせて引用される名前には流行り廃りがあります。特に歴史上の人物でいうとスターリンやユーリ・ガガーリンなどその当時活躍していた人物の名前を引用する場合も多く、特にキリスト教由来の名前が禁止されていた時は世相が強いです。
最近ではキラキラネームも問題に
一方で漫画や小説の登場人物から名付けるキラキラネームが一時問題になり、人気のアニメや小説から引用する方が増えました。その際悪魔を表す「ルシファー」という名前などを届ける親が増え、ロシアでは現在法律でキラキラネームが禁止されています。
「ルシファー」の他にも小説「ハリーポッター」が流行った頃には「ハリー」はもちろん、中には「ヴォルデモート」と名付ける親も増え始めたことから、子供が大きくなってからの教育を考えてそうした名前を法律で禁止することに決めたという世相も見られます。
ロシア人男性の人気の名前ランキングTOP5
それではこちらからロシア人の男性の名前について、人気ランキングTOP5をご紹介いたします。ロシア人男性に多い名前についてその意味や由来もあわせて見ていくことで、その特徴や名付け方のポイントについてが見えてきます。
第5位.Vladimir(ウラジーミル)
「Vladimir(ウラジーミル)」はスラブ語で「高貴」を表す名前として古くからロシアで一般的に広まっています。格式高く、歴史的に見ても貴族の名前として使われていたこともあり、上品な印象のロシア人の男性の名前としてとても人気が高い名前です。
第4位.Dmitri(ディミトリー)
「Dmitri(ディミトリー)」はギリシャ語で「博愛」を表す言葉です。ですが、「ディミトリー」という名前には諸説存在し、ギリシャ語由来の場合もあれば、ギリシャ神話の女神デメテルが由来となっている場合もあり、親御さんにより意味や由来は異なります。
第3位.Kirill(キリル)
ロシア語のキリル文字にも使われている「Kirill(キリル)」はロシア語でそのまま「神」としての意味合いを持っており、キリル文字そのものも元はその原型をキリスト教修道士「キュリロス」が考案したことから、キリスト教にも由来がある名前として有名です。
第2位.Maxim(マキシム)
ロシア人男性で特に一般的な名前のひとつとして数えられるのが「Maxim(マキシム)」です。マキシムは特にスラブ圏で広く知られている名前で、その語源として「偉大」という意味があり、ロシア人では男性名として非常に好まれている名前です。
第1位.Mikhail(ミハイロ)
ロシア人男性の人気の名前第1位は「Mikhail(ミハイロ)」です。「ミハイロ」はロシア語で「ミカエル」の派生として誕生した名前で、「神からのプレゼント」としての意味合いも持っており、大切な子供に名付ける名前としてとても強い意味を持ちます。
ロシア人女性の人気の名前ランキングTOP5
一方でロシア人女性の名前はどのようなものが人気なのでしょうか?スポーツ界での活躍などからロシア人女性の名前は日本でも多く知られているものがたくさんあります。こちらではロシア人女性に人気の名前TOP5とその意味や由来について見ていきましょう。
第5位.Anastasia(アナスターシャ)
「Anastasia(アナスターシャ)」は女性名としてとても人気が高く、キリスト教殉教者聖アナスターシャから引用されている場合も珍しくありません。その語源はギリシャ語で「キリスト復活」という意味があり、キリストの逸話になぞらえた名前です。
第4位.Elizabeta(エリザベータ)
名前の響きも可愛い「Elizabeta(エリザベータ)」はヘブライ語で「献身」という意味があり、神に仕え神に守られて幸せな人生を歩んで欲しいという気持ちから名付ける親も多いです。海外でも親しみやすい名前のひとつであると言えます。
第3位.Valeria(ヴァレリア)
「Valeria(ヴァレリア)」は古くからロシアで広まっている女性の名前で、ランキング第3位です。ラテン語由来の名前で「健康」という意味があるので、健やかに育って欲しいという親心を「ヴァレリア」という名前に込めることができる素敵な名前です。
第2位.Veronika(ヴェロニカ)
「Veronika(ヴェロニカ)」はラテン語で「勝利の女神」という意味があり、女性らしい印象が強い名前であると言えます。特にヨーロッパ由来の名前であることから、エルサレムの聖ヴェロニカなど、聖人の名前から引用して名付ける方もいます。
第1位.Arina(アリナ)
ロシア人女性の名前第1位は「Arina(アリナ)」です。「アリーナ」と呼ばれる場合もあり、ロシア語で「平和」という意味を持つ言葉で、聖書引用の名前が「古臭い」という風潮が高まっている今現在、圧倒的人気を誇るロシア人女性の名前です。
その他人気のロシア人男性の名前一覧
ロシア人の名前 | 読み方 | 名前の意味・由来 |
ア行 | ||
Igor | イゴール | ロシア語で''平和の神の戦士'' |
Ilya | イリヤ | ヘブライ語で''神ヨハネ'' |
Efraim | エフライム | 旧約聖書ヨセフの息子の名前 |
カ行 | ||
Gabriel | ガブリエル | 旧約聖書に登場する天使 |
Gennady | ゲンナディ | ラテン語で''高貴'' |
Konstantin | コンスタンチン | 古代ギリシャ王の名から派生 |
サ行 | ||
Jurian | ジュリアン | キリスト教殉教者''聖人ユリアヌス'' |
Sergei | セルゲイ | ラテン語で''守人'' |
Solomon | ソロモン | ヘブライ語で''平和'' |
タ行 | ||
Daniil | ダニール | ヘブライ語で''神の審判'' |
Denis | デニス | 聖人''ディオニュシウス'' |
Dmitry | ドミトリー | ギリシャ神話の女神''デメテル'' |
ナ行 | ||
Nicholas | ニコラス | カトリックの聖人''ニコラオス'' |
Nikita | ニキータ | ギリシャ語で''勝者'' |
Nikanol | ニカノール | ギリシャ語で''勝利する男'' |
ハ行 | ||
Bartlomei | バルトロメイ | 新約聖書キリストの使徒 |
Fyodor | フォードル | ロシア語で''神のプレゼント'' |
Benjamin | ベンジャミン | クワ科の植物''ベニヤミン'' |
マ行 | ||
Marcel | マルセル | ローマの将軍''マルケッルス'' |
Michail | ミカイル | 旧約聖書の天使''ミカエル'' |
Moisey | モイセイ | 民族指導者''聖人モーセ'' |
ヤ行 | ||
Lurii | ユーリ | 聖人ゲオルギオスの派生形 |
Eugene | ユージェヌ | ギリシャ語で''生まれの良い'' |
Losif | ヨシフ | 旧約聖書''ヨセフ''の派生形 |
ラ行 | ||
Lavrenti | ラヴレンティ | ラテン語で''月桂冠'' |
Lazar | ラザール | キリストの友人''ラザロ'' |
Leonid | レオニード | 古代ギリシア''レオニダス1世'' |
ワ行 | ||
Wassily | ワシリー | キリスト教聖人''バシレイオス'' |
Wictor | ヴィクトル | 勝利の女神''ウィクトーリア'' |
ランキングTOP5にご紹介した以外にも人気のロシア人男性の名前は数多くあります。惜しくもランキング入りは逃したけれど特に一般的に知られているロシア人男性の名前についてその意味や由来と合わせて一覧でご紹介いたしました。
その他人気のロシア人女性の名前一覧
ロシア人の名前 | 読み方 | 名前の意味・由来 |
ア行 | ||
Adelina | アデリーナ | 聖人''アデリナ'' |
Ekaterina | エカテリーナ | ギリシャ語で''純粋'' |
Erisaveta | エリザヴェータ | ロシア語で''神の誓い'' |
カ行 | ||
Galina | ガリーナ | ロシア語で''おだやか'' |
Kristina | クリスティーナ | 古代ギリシア語で''キリスト教徒'' |
Xenia | クセーニア | 東ヨーロッパ由来の王族名 |
サ行 | ||
Sinaida | ジナイーダ | ロシア語で''ゼウスの子孫'' |
Svetlana | スヴェトラーナ | ギリシャ語で''神聖なあかり'' |
Zoya | ゾーヤ | ロシア語で''生命'' |
タ行 | ||
Daria | ダーリア | 花の名前''ダリア''、ロシア語で''優れる'' |
diana | ディアーナ | ローマの女神''ダイアナ'' |
Terntia | テレンティア | ラテン語女性名から |
ナ行 | ||
Nadezhda | ナデージュダ | ナディア(希望)の派生形 |
Nina | ニーナ | オリエント世界の神の名称 |
Nonna | ノンナ | ラテン語で''9番目'' |
ハ行 | ||
Paulina | パウリーナ | ギリシャ語名''アポリナリア''から派生 |
Bronislava | ブロニスラヴァ | ポーランドの修道女''ブロニスワヴァ'' |
Pulkheriya | プリヘーリヤ | ロシア語圏女性名 |
マ行 | ||
Margarita | マルガリータ | 古代ギリシア語で''真珠'' |
Misha | ミーシャ | 旧約聖書''ミカエル''の派生形 |
Mery | メーリ | 新約聖書''聖母マリア''の派生形 |
ヤ行 | ||
Yana | ヤーナ | 旧約聖書''ヨハネ''の派生形 |
Luliana | ユリアナ | ローマ氏族''ユリウス''の派生形 |
Yolanda | ヨランダ | ヨーロッパ王族名に由来 |
ラ行 | ||
Raissa | ライッサ | ロシア古来の女性名から |
Lidia | リーディア | アジア出身者''イーミャ'' |
Leila | レイラ | ヘブライ語で''夜'' |
ワ行 | ||
Warwara | ワルワラ | スラヴ圏の女性名''ヴァルヴァラ'' |
可愛い響きの名前が多いロシア人女性の名前ですが、キリスト教や聖書由来の名前は数多くあり、今も広く一般的に知られている名前は数多くあります。こちらではそんな人気のロシア人女性の名前を一覧でご紹介いたしました。
ロシアに多い名字と名字にまつわる意味
それではロシアに多い苗字にはどのようなものがあるのでしょうか。スポーツ選手やロシア出身ブランドなどから聞き覚えがある苗字も多いかもしれません。そのロシアに多い苗字とその意味や由来をあわせてご紹介していきます。
1.Smirnov(スミルノフ)
「Smirnov(スミルノフ)」はロシアの中でも現在でも多く広まっており、日本語にすると「静か」という意味を持っています。もともとロシアでは苗字は位の高い人のみが持っていたもので、キリスト教や聖書関連の由来を持つ苗字は少ない傾向にあります。
2.Ivanov(イワノフ)
「Ivanov(イワノフ)」もロシアに多い苗字で、過去ロシアの農民に多い名前として広まっていた「Ivan(イヴァン)」の息子という意味を持っており、ある意味では父称のような言葉である可能性もあります。現在はブルガリアにもこの苗字の方がいます。
3.Kuznetsov(クズネツォフ)
「Kuznetsov(クズネツォフ)」はロシアで苗字が世間一般に広まったときに生まれたもののひとつで、多くの人は当時の職業から苗字を決めていました。「クズネツォフ」はその中でも「鍛冶」を表す言葉であることから、鍛冶師の方達の苗字として始まりました。
4.Sokolov(ソコロフ)
職業由来の苗字は多いですが、その一方動物から誕生した苗字も多いです。中でも鳥が由来となっている苗字は数多く、「Sokolov(ソコロフ)」もそのひとつです。「ソコロフ」はロシア語で「鷹」を意味している言葉で、かっこいい苗字のひとつです。
大統領の名前で日本でも聞き覚えがある苗字ではないでしょうか。「Medvedev(メドベージェフ)」も動物由来の苗字のひとつで、その意味はロシア語で「熊」です。中でも蜂蜜を食べる熊という意味があり、あの黄色い熊のぬいぐるみのキャラクターが想起されるとても可愛い苗字としてイメージが強いです。
ロシア人の愛称は難しいけど役に立つ?
ロシア人の名前は日本に比べて長く、もちろん愛称も存在します。人と仲良くなるために愛称で呼び合うことはひとつの良い方法で役立ちますが、その法則性は日本には馴染みがなくとても難しいです。ですが、その多くが名前の一部をもじったものです。
「エリザヴェータ」なら「リザ」、「ヴェロニカ」なら「ニカ」などが挙げられますが、その名前によって愛称のつけ方は大きく異なります。中には「アレクサンドラ」なら「サーシャ」など、あまり馴染みのない愛称のつけ方もロシアでは一般的です。
だからこそ、わからない場合は「何て呼んだら良い?」とロシア人の方本人に尋ねてみましょう。それもひとつのコミュニケーションとして、ロシア人と仲良くなるためにおすすめです。反対に自分も「◯◯と呼んでね」と呼んでほしい名前を先に伝えましょう。
ロシア人の名前は独特?特徴を押さえよう
いかがでしたか?今回はロシア人の名前の特徴についてご紹介いたしました。ロシア人の名前には数多く種類があり、男性・女性共に今では国際化が広がり日本でも聞き馴染みの強い名前が多いです。ロシア人の名前には大きな特徴がありロシア人らしさがあります。
ロシア人の名前の特徴を押さえることは、ロシア人と仲良くなるための第一歩です。楽しくコミュニケーションを取るためにも、ロシア人の名前の由来や成り立ち、愛称のつけ方などを覚えておくことでコミュニケーションの中のひとつの知識として役立ちます。