プルースト効果の意味とは?匂いで記憶する呼び起こす現象を解説

何かの匂いを嗅ぐことで、何かの場面を思い出す現象を体験したことがある人は少なくないはずです。この現象は「プルースト効果」と呼ばれています。この「プルースト効果」という現象の意味や、利用方法を紹介します。恋愛やテスト等に活かしていきましょう。

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目次

  1. 1匂いで記憶を思い出した経験がある?
  2. 2プルースト効果で忘れていた思い出が蘇る
  3. 3「プルースト効果」の意味とは?
  4. 4「プルースト効果」のメカニズム
  5. 5プルースト効果の例
  6. 6匂いで記憶が蘇る理由
  7. 7プルースト効果を活用する方法
  8. 8プルースト効果を活かして過ごしてみよう!

匂いで記憶を思い出した経験がある?

何かの匂いを嗅いだ瞬間に、ある記憶を思い出したことがある人は意外と少なくありません。このような経験は、ふとした瞬間に起こります。学術的には「プルースト効果」という現象です。では、具体的にこの現象についてみていきましょう。

プルースト効果で忘れていた思い出が蘇る

先ほど述べたように、「プルースト効果」は何かの匂いを嗅ぐことで、それに関連する記憶を思い出す現象の事です。この現象は、忘れていた記憶を思い出す、という意味合いもあります。

実際、色濃く覚えている記憶ではなく、もはや忘れてしまっている記憶を思いますことも多いです。「プルースト効果」のこのような現象は、恋愛などをはじめとした色々な場面で利用することもできます。

「プルースト効果」の意味とは?

では、具体的に「プルースト効果」の現象と意味について紹介します。

定義としては、『嗅覚や味覚を通して過去の記憶が呼び覚まされる心理現象の事。過去の記憶に結びつけられた匂いを嗅ぐことでフラッシュバックを起こすような体験。』ということになります。「無意識的記憶」や「プルースト現象」ともいいます。

フランスの小説家マルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』の中の1シーンが基になっています。それは、主人公がマドレーヌを紅茶に浸したとき、その香り通して幼年時代の記憶を思い出すというシーンです。

「プルースト効果」のメカニズム

 では、具体的に「プルースト効果」はどのようにして起こるのでしょうか。まず、鼻から刺激として入った匂いは、嗅上皮、嗅細胞(嗅毛)と進み、嗅球の次に大脳辺縁系と移動します。この大脳辺縁系はもちろん脳です。

大脳辺縁系は、食欲や睡眠欲のような本能的欲求や、喜怒哀楽の感情を監察する機関です。先ほどの流れを基に、嗅覚はこの大脳辺縁系と直接結びついています。実は、五感の中で大脳辺縁系と結び付いているのは嗅覚だけです。

つまり、匂いは本能的欲求や感情に直接関与するということになる為、匂いと人間の記憶・情動のようなモノには密接な関係があることになります。

プルースト効果の例

「プルースト効果」の具体的な意味やメカニズムを聞いてもピンとこない人は多いでしょう。そこで、続いて「プルースト効果」の実例を紹介します。こんな体験ならしたことあるかもな、という人もいるはずです。

たばこの匂いで知人を思い出す

たばこや香水など、匂いに重点がいくようなものを通して知人を思い出すような効果も「プルースト効果」の一つです。「プルースト効果」とは、日常生活で起こり得る簡単な現象です。

その知人に関係する匂いが記憶に結び付いているので、もちろん「このたばこの匂い」「この香水の匂い」というふうに匂いの種類は限定されていることになります。忘れかけていた知人を思い出すこともあり得ます。

恋愛中の人は、恋愛相手を思い出す可能性も高いです。このように「プルースト効果」とは、忘れかけている記憶以外の記憶においても呼称されます。

料理の匂いで学生時代を思い出す

匂いは、もちろん料理からも発生します。給食のような料理の匂いから学生時代を思い出すこともあるでしょう。お昼時に学校周辺を歩くと、給食の匂いがすることもあります。そのような匂いから記憶を思い出すこともあります。

「プルースト効果」とは、その範囲は曖昧なので、どこまで思い出せるかは微妙なところがあります。学校生活をぼんやり思い出す人もいれば、しっかりと思い出す人もいるはずです。給食時だけを深く思い出す人もいるでしょう。

匂いで記憶が蘇る理由

「プルースト効果」は匂いで記憶がよみがえることを指しますが、メカニズムは別として、このようなことが起こるもっと分かりやすい理由、また、起こらなければならない理由とは一体何なのでしょうか。

「プルースト効果」は、名前の由来こそ小説ですが、その効果は実験でしっかりと実証されており、ちゃんと存在する現象を意味しています。しかし、なぜ起こるのか、起こらなければならないのかについては、はっきりしたことは分かっていません。

仮説としての説は多数あるので、これらを説明していきます。

「大脳辺縁系に繋がっている」という理由

これは「プルースト効果」のが起こる理由として先述しています。最初に鼻から入った匂いという刺激が、嗅上皮、嗅細胞、嗅毛、嗅球の順に進み、その後大脳辺縁系と移動する流れを押さえておきましょう。

この大脳辺縁系は、三大欲求のような本能的欲求だけでなく、喜怒哀楽の感情を扱う部分でもあります。五感の中で、嗅覚だけはこの大脳辺縁系と直接結びついています。

匂いは本能的欲求や感情に直接関与するということになり、匂いと人間の記憶・情動のようなモノには密接な関係があることになります。先述の内容と大差ないですが、これは絶対に押さえておくべき「理論」としての「プルースト効果」の理由といえるでしょう。

「動物の本能的な性質」という理由

まず、「プルースト効果」のような人間が本来持ちうる現象について考える際には、昔の人類のことを考える必要があります。ここ数年で身に着いた現象ではないからです。一つの説として挙げられるのは、食べ物の選別です。

昔の人(哺乳類)は、果物などを食べていましたが、中には毒のある果物も少なくありません。食べることができる食物かどうかを判別することは大事な事です。それだけでなく、腐敗についても嗅覚を通して調べることが出来ます。

毒の摂取は命の危険に関わります。匂いでそれを判断し、匂いと記憶を関連させることで、食べられるものかどうかを判断・記憶していたというのは可能性として否定できません。このようにして、嗅覚と記憶が密接に結びつく「プルースト効果」は説明できます。

「動物的な危険回避のため」という理由

太古の昔において、人(哺乳類)は外敵から身を守らなければなりませんでした。視覚や聴覚をはじめとする五感は、外敵が近づいているかどうか、近くにいるのかどうかを判断するのに非常に重要な感覚であったといえるでしょう。

一方、嗅覚は他の感覚とは違い、外敵が隠れている場合でも適応できます。その事実を考えると、匂いで敵の居場所を判別できることは大きなメリットであったといえます。そのまま敵の場所や敵の移住地を記憶してしまえば、そこは避けて通ることが出来ます。

大脳辺縁系に直接結びついているのはこのような本能的な危険回避の理由も考えられます。

プルースト効果を活用する方法

「プルースト効果」の意味やメカニズムなど、「プルースト効果」そのものについて色々と紹介してきました。それでは、この「プルースト効果」を実際に生活に活かしてみましょう。様々な場面で「プルースト効果」の現象は役に立ちます。

一例として、恋愛での活用方法、勉強への活用方法、パニック障害に対する活用方法などを述べていきます。

恋愛での活用方法

恋愛での「プルースト効果」の効果とは、やはり「相手を思い出す」事でしょう。これは、今の恋愛でも過去の恋愛でも対応できます。

具体的には、現在恋愛の関係にある相手がいる人でも、遠距離恋愛などの関係にある人は少なくないでしょう。会いたくても会えない状況は寂しいはずです。この時、相手の匂いを想起させるものを用意しておけば、寂しさが少しは和らぐでしょう。

過去の恋愛でも、どうしても忘れられない相手がいるときなどでも寂しさを紛らわすことが出来ます。どちらの恋愛であっても、実際に経験したことのある人もいるでしょう。相手がよく使う香水やシャンプーなどを知っておくのもいいかもしれません。

勉強や仕事での活用方法

「プルースト効果」を勉強・仕事に応用しようとすることはかなり効果が高いです。実際に、「プルースト効果」を使った勉強に関する実験を行った例があります。

具体的には、偏差値が同じくらいの小学生15人に「香り付きの消しゴム」の匂いを嗅ぎつつ漢字を覚えてもらい、それをテストしたという内容です。漢字は習っていないもので、全10問。暗記時間は30分でした。暗記からテストまでは2時間時間をとっています。

この結果として、「香り付きの消しゴム」の匂いを嗅がない状態でテストした際の正解率は75%であったことに対して、「香り付きの消しゴム」の匂いを嗅ぎつつテストを行うと正解率は83%でした。記憶力が約10%向上したということです。

この実験では、「プルースト効果」と記憶の関係に焦点を置いています。実際のテストでは「香り付き消しゴム」を使用することも難しいかもしれませんし、付け焼き刃であることは否めません。

しかし、一方で「プルースト効果」のこの現象を利用することで、記憶が早く定着する事は否定できません。

勉強のみならず、仕事でも、忘れられない用事などはこの現象を利用することができるでしょう。

パニック障害への活用方法

パニック障害に対する「プルースト効果」とは、「落ち着きを取り戻す」ことにあります。多くの人には「落ち着く匂い」というのがあります。ある花の匂い、ある果物の匂いなど、落ち着ける匂いというのは多種多様です。

このような匂いを用意しておくことで、パニック障害の症状を和らげることが出来る可能性もあります。パニック障害は、混乱がピークになって起こる精神的な症状なので、匂いで精神を落ち着けることで軽減することはあり得ます。

ハンカチなどに自分の落ち着ける匂いを染み込ませておけば、あらゆる場所で違和感なく利用することが出来るはずです。

プルースト効果を活かして過ごしてみよう!

「プルースト効果」の様々な側面を紹介してきました。何かの匂いで昔の記憶を思い出す、という誰でも一度は経験したことのあるであろう「プルースト効果」は、場面場面で適切に利用することで、生活の水準を向上させてくれます。

しっかりと「プルースト効果」の事を押さえて、日々の生活の中に活かしていきましょう。

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