なまめかしいの意味や漢字とは？使い方を例文で紹介！

「なまめかしい」という言葉は日常耳にしやすい言葉ではありませんが、ある特定の雰囲気を醸し出すにはとても優れた言葉です。「なまめかしい」という言葉に漠然としたイメージを持ちながらもはっきりとした意味を掴めずにいる人もいるのではないでしょうか。


魅力的な褒め言葉「なまめかしい」の意味や使いどころなどを詳しくみていきましょう。

「なまめかしい」とは動詞の「なまめく」が形容詞になったもので、人の容姿や態度が色っぽく艶っぽく情緒があるという意味です。

平安時代より使われている言葉で元々は若い女性の性的魅力を表現することが多かったのですが時の移り変わりとともにその意味は少しずつ変遷していきました。

現代では若い女性に対して使うことはまれで、どちらかというと落ち着いた大人の女性が醸し出す色気について使うことの方が多いでしょう。何気ない仕草まで色っぽい人には男女問わず魅了されます。

「なまめかしい」を漢字で書くと「艶めかしい」となります。「艶」の音読みは「エン」、訓読みには「つや」「あで（やか）」「うらや（む）」などがあります。

辞書によっては「艶かしい」と送り仮名が違う書き方をしていることもあります。また、「嬌めかしい」「妖かしい」とも書きます。どれも「なまめかしい」と読み、意味は同じです。

「なまめかしい」の語源としては「なま」（生）に接尾語の「めく」がついて「なまめく」となり、やがて「なまめかし」に変化し「なまめかしい」となりました。

「なまめかし」は『源氏物語』や『枕草子』などからすでに見られる言葉です。言葉の歴史としては1000年以上になります。

古語で「なま」（生）とは「未熟な」といった意味を持つことからも「なまめかし」は本来は若い女性の魅力をさす言葉でしたが次第に女性の性的魅力に言うようになり、さらには性的魅力全般をさす意味の言葉となったという説が一般的です。

しかし『源氏物語』でも光源氏や冷泉院や夕霧といった男性が「なまめかし」とされている描写はあるので元々女性に限った言葉だったわけではありませんでした。

「なまめかしい」は形容詞ですので名詞がどのような様子なのかということをあらわします。人や物やその状況が色っぽいということを表現する言葉です。

「なまめかしい」という言葉を使った例文をいくつか紹介していきます。

書斎はじりじりと薄暗さを増す。いつも自分が使っている椅子に優雅に座る彼女がなまめかしい手つきで膝の上の黒猫を撫でるのをただじっと見ていた。目が離せなかったのだ。唾を飲みこむ音がやけに大きく響いたような気がした。

いつ終わるとも知れぬ学年主任のお説教を目を閉じて聴いていた。内容は一切入ってこないが、じんわりと身体の奥に沁み入ってくる、
「……なまめかしい、声」
「何か言ったか？」
「いいえ、何も言ってませんよ……先生？」

濡れ髪にタオルを押し当てながら出てきた湯上りの彼女はいつになくなまめかしい姿をしていた。緩く合わされた襟元から色香が立ち昇る。普段の彼女からは想像することさえできなかったこれは、嬉しい誤算だ。

「なまめかしい」という言葉と似たような表現には以下のようなものがあります。それぞれに微妙なニュアンスの違いがあるので使用の際には若干の注意が必要です。

「妖」も「艶」も「なまめかしい」と読む漢字なので二つが重なることでさらに艶めかしさが強調されます。あやしいほど美しいさまを意味します。「妖艶な熟女」といった風にその対象の多くは女性です。

「色気のある」とは主に性的な魅力を感じる時に使う言葉です。対象は女性に限らず、「色気のある男性の仕草」「色気のある声」というような時にも使います。

身体を構成するパーツに色気を感じる人も多いようで、鎖骨だったり血管だったり喉仏だったりと色気を感じるものは人の数だけあげることができるでしょう。

「魅力的（みりょくてき）」とは人を惹きつけて夢中にさせる力をあらわした言葉です。その対象は性的なものに限りません。「魅力的なウェディングプラン」「魅力的な自己PR文を考える」などのようにも使います。

「魅力的な労働環境」といったような堅い言葉に使われることもあります。

「魅惑的（みわくてき）」とは、人の心を魅了し惑わすさまを意味する言葉です。人を惹きつけることは他の似たような言葉と同じですが「魅力的」よりも一歩踏み込んだ人を惑わすほどに夢中にさせる魅力です。

「魅惑的な肉体美」「魅惑的な体つき」などのように使います。

「蠱惑的（こわくてき）」とは人の心を惹きつけ惑わす様子をあらわす言葉です。「蠱」も「惑」も惑わすという意味です。「魅惑的」よりもさらに危険に惑わしています。

「蠱惑的な美貌」「蠱惑的な美女」というと城が傾くほどの美女を彷彿とさせます。

「なまめかしい」の英語表現には以下のようなものがあります。それぞれの意味も併記しました。
 

「coquettish」はカタカナ語でそのまま「コケティッシュ」として日本語の中で使われていて「セクシー」や「なまめかしい」などと訳されます。

しかし微妙なニュアンスとしては熟女の妖艶さというより、少女が大人の女性へと成熟していく途中の可愛らしさの中にあるセクシーさといった意味合いで使われていることが多いでしょう。

なまめかしい人とはどんな特徴を持った人のことなのでしょうか。男性女性、それぞれ見ていきます。

なまめかしい男性とは例えばこんな特徴を持った人です。

豪放磊落で大雑把なわかりやすい男性とは対照的に、手の内を全てさらさず謎を秘めて物静かに妖しく微笑んでいるような男性はなまめかしいと言えるでしょう。

そんな男性は仕草も繊細で雑なところのない丁寧さがあり、どこか中性的な雰囲気のあるところもミステリアスでセクシーに感じられます。

節くれだったいかにも男性らしい指とは一線を画した、ムダ毛もなく白魚のような繊細な指先を持つ男性もなまめかしさにあふれています。なまめかしい男性は美しい指先を持つだけでなく、仕草までもが優美で繊細です。

手の先まで神経を行き渡らせた動きは男性というよりも中性的な魅力があります。

なまめかしい女性とは例えばこんな特徴を持った人です。

明るく健康的な色気とは違い、慎ましさが滲み出てくるようなはんなりとした色気を持った女性はなまめかしい印象を与えます。セクシーさは肌を露出させれば良いというものでもありません。

押し付けがましさのない慎ましやかな色気はなまめかしいと言えるでしょう。

あまり多くを語らず言葉少なにミステリアスな雰囲気を醸し出すことはなまめかしさにおいては重要です。開けっ広げなフレンドリーさより聞き上手な親密さに惹かれる人は多いでしょう。

自分のことをあまり話さない謎めいた女性にはなまめかしい魅力がそこはかとなく漂っています。

なまめかしい人とはミステリアスな雰囲気をまとった色気のある人でした。落ち着いた大人の上品な優雅さは男女問わず人を魅了します。

色気のある人は異性を惹きつけますが、色気は何も異性に対してだけ効果を発揮するものではありません。普段の人間関係にほんの少し潤いをもたらすようななまめかしい人にあなたもなってみませんか？