「こないだ」は方言?意味や正しい使い方・「このあいだ」との違い

普段よく使っている「こないだ」の言葉の意味は何だと思いますか?結局方言なのかと気になる方もいらっしゃる方の為に、日常生活で使われる言葉を含めて、「こないだ」の正しい使い方や「このあいだ」との違いなどを広辞苑などを使ってしっかり解説します。

「こないだ」は方言?意味や正しい使い方・「このあいだ」との違いのイメージ

目次

  1. 1「こないだ」は方言なのか?
  2. 2「こないだ」の意味と「このあいだ」との違い
  3. 3「こないだ」の正しい言い方
  4. 4「こないだ」の正しい使い方
  5. 5書き言葉としての「こないだ」
  6. 6「こないだ」は広辞苑にも載っている
  7. 7今必要な事、学ぶべき事

「こないだ」は方言なのか?

今でも日常生活でほぼ定着している「こないだ」という言葉が「方言」なのか、「方言ではない」のか意見が二つに分かれます。どちらの意見も実は正しいのです。なぜならば、「方言」だと言う方はおそらく方言辞典をご覧になっての意見でしょう。そして「方言ではない」という方は広辞苑をご覧になっている可能性が高いです。

方言と認識されている?

方言辞典から「こないだ」という言葉が削除されていないという事は、まだ一部の地域では、「こないだ」は日常生活の方言として認識されているという事になります。広辞苑の事に関しましては後ほどご説明しますので、まず、方言辞典に「こないだ」の言葉が載っている本を皆様にご紹介いたします。

東京堂出版の全国方言辞典(東條操著者)の本には、全国各地の方言が記載されている結構分厚い本の為、方言の研究をされる方にはおすすめの本です。その本にはしっかりと「こないだ」という言葉が書いてあります。よって、「こないだ」は方言として扱われている事が確認出来ます。

どこの地域で使われているのか

全国方言辞典で「こないだ」という方言を日常生活でどちらの地域が使われているかという説明では、茨城県多賀郡、山梨県、静岡県、佐渡と記載されており、茨城県以外は全て中部地方です。本に記載はされておりませんが、岐阜県と愛知県の方も「こないだ」を日常生活で使っております。

長野県方言辞典(馬瀬良雄著者)の本には「こないだ」という言葉が載っていました。三松堂大辞林においては、「こないだ」を方言として使用している地域は、甲州弁、大阪弁、和歌山弁、鳥取弁と近畿地方から中国地方にかけてでした。ネット情報では東北地方でも方言として使われているようです。

上記の説明により、中部地方はほぼ「こないだ」は日常生活で使っていると判断しても良いでしょう。近畿地方や中国地方、東北でも「こないだ」という言葉を日常生活で取り入れているのであれば、一部の地域で使われている方言ではなく、全国的に広がっている事が判断出来ます。

なぜ全国的に言われるようになったの?

還暦以下の人は、主にテレビでアナウンサーやタレントの影響を受けたのではないでしょうか。例えば、方言ではありませんが、「ほぼ」という言葉があるにも関わらず、テレビでどなたかが「ほぼほぼ」と言ったのを皮切りに全国で「ほぼほぼ」が使われるようになりました。よって「こないだ」も全国的になったと考えられます。

他にも「インスタ映え」については、インスタグラムの日本語版はまだ4年前に入ってきてばかりにも関わらず、今は「インスタ映え」という言葉を知らない人はいません。「インスタ映え」するスポットや、食べ物、ポーズの仕方等紹介された事により、年齢関係なく「インスタ映え」するよう試行錯誤して写真を撮る程テレビの影響が出ております。

テレビ以外では、元々地方に住んでいた方が都会に上京した事により広がったり、会社の転勤で色んな地方に行っていた方が地方の方言を身につけて話すようになった等、多方面でコミュニケーションをとっていくうちに「こないだ」と話すようになって日常生活において使用する言葉が定着し、自然に広まった事も考えられます。

実は方言として扱っていない本もある

見出しをご覧になって驚かれたことでしょう。実際に方言辞典から「こないだ」という言葉が記載されていない本が出版されております。後ほどその出版された本をご紹介し、なぜそのような事になっているのかを順を追って説明をいたします。

先ほど、全国方言辞典の本をご紹介いたしました。こちらの本には確かに方言辞典として「こないだ」という言葉が記載されており、使用されている地域も載っています。ですが、これから紹介いたします本は「こないだ」という言葉がないのです。小学館出版の日本方言辞典標準語引き(佐藤亮一著者)の本には「こないだ」は載っておりません。

日本方言辞典標準語引きという本は、標準語を元に各地域でどのような方言を使われているのか詳しく書かれている本です。そこで、「このあいだ」という標準語を元に調べてみますと、「おとつい」等聞いた事があるような言葉や全く耳にした事がない言葉までたくさん載っておりますが、「こないだ」はないのです。なぜ、ないのでしょうか。

全国方言辞典の出版年数は1951年12月と今から半世紀以上も前に出版された本であり、その後何度も増版されている本です。一方日本方言辞典標準語引きの出版は2003年11月と直近年号ではないですが、それ程古い出版物ではありません。ただ、全国方言辞典と日本方言辞典標準語引きでは方言の有無によって整合性が合いません。

実は、全国方言辞典は増刊されてはいても、内容は更新されておりません。例えば、平成の大合併によって住所変更が各地で実施されました。先程「こないだ」を使用している地域として茨城県多賀郡をご紹介しましたが、こちらの地域は現在日立市となっております。よって新しいものに更新されていないのが分かります。

現在、「こないだ」という言葉は、全国的に使用されているとほぼ認識されており、その為日本方言辞典標準語引きの出版の際には、「このあいだ」の方言として「こないだ」を記載する必要はなかったと考えられます。「こないだ」の方言についての判断は、新しい辞典や更新されているものがより信ぴょう性が高いといえるでしょう。

「こないだ」の意味と「このあいだ」との違い

何気に日常生活で使っている「こないだ」ですが、「このあいだ」という言葉もあります。「こないだ」と「このあいだ」という言葉のそれぞれの意味と、違いの説明は出来ますか?いざとなった時、説明が出来なかったと困らないようこれから意味と違いの確認をしてまいりましょう。

それぞれの意味と違い

まず、「こないだ」の意味は、コノアイダの約であり、「近頃」、「この頃」、「先日」、「先頃」等「数日前」の事を言います。つまり現在より過去の事を指している訳です。「こないだ」は、「こなひだ」と言う事もあり、一方「このあいだ」は、「このごろ」、「近頃」、「先頃」、「過日」という意味を持ちます。

ただ、「このあいだ」に関しては、「過去」の意味だけでなく、古い言い方では、「近い将来つまり、近日中」や、「現在も含んだ最近」という意味も含まれていました。現在は、「近日中」や「最近」という意味を含めての「このあいだ」を使う事がなくなり、結果論として「こないだ」と同じ意味で違いはないと考えてよいでしょう。

違いもそんなに大きくありませんが、「こないだ」は方言辞典にも載っており、広辞苑にも載っているので方言の有無の正しい判断は難しいです。確実に言えるのは、「このあいだ」に至っては標準語です。完全に標準語か否かという方面においては、「こないだ」と「このあいだ」には違いがあると判断してもよいでしょう。

「こないだ」と「このあいだ」の漢字表記があるの?と疑問を抱く方にお伝えいたします。両方とも漢字表記はあるのです。「こないだ」は漢字にすると「此間」になり、キーボードでも「こないだ」と入力すると、「此間」という文字が出てきます。正しい漢字なので覚えておきましょう。
 

「このあいだ」の漢字は、「此間」と違い「此」を使いません。「此の間」ではなく、書き言葉として「この間」が正しい表記です。こちらもキーボードで「このあいだ」と入力してみて下さい。すると、「この間」と変換されて出てくる筈です。ぜひ、書き言葉の時に使用しましょう。

漢字の表記では、書き言葉として「この間」はご覧いただく機会はありますが、「此間」という漢字表記はあまり見かける事がありません。書き言葉で「この間」と書く事自体多くはない事から、「此間」はさらに必要性がないと考え、使用しない事も大いに考えられます。

次は、類語にどんな言葉があるかと言いますと、「こないだ」は、「前の日」、「昔の日」、「少し前」、「以前」等、「過去」の事を言っている点では類語と言えるでしょう。「この間」の類語は、「一昔前」、「その昔」、「ありし日」と「こないだ」の類語よりやや過去の事を言っている言葉が多く、時系列に違いがあります。

小説等で「ありし日」や「一昔前」等の言葉が出た場合は、「こないだ」より、「この間」の意味を言っている可能性があります。「こないだ」と「この間」との直接の意味は一緒で違いはありませんが、類語となると少しニュアンスが異なります。作家の意味の取り方やニュアンスにもよりますので、意図する事を読み解く必要もあります。

「こないだ」は「このあいだ」の略語なの?

例えば、「食べれる」「食べられる」のように、今まで「ら」抜き言葉だと言われておりました。ローマ字表記した場合、「TABERERU」「TABERARERU]となりますが、実際抜けているローマ字は「AR」であり、「ら」ではないのです。よって、「ら」抜き言葉ではないと最近テレビで話題になりました。

では、「こないだ」と「このあいだ」で検証してみましょう。ローマ字だと「KONAIDA」と「KONOAIDA」になります。抜けているのは「O」だけなので、「たべれる」と「たべられる」の例と同じように、「こないだ」は、「このあいだ」の略ではない事がローマ字表記にした場合に証明ができます。

「こないだ」と「このあいだ」の発音の違い

では、「こないだ」と「このあいだ」の発音の違いがあるのかどうか見てみましょう。発音を調べる上でおすすめは、アナウンサーを目指す方、または声優を目指している方が重宝されている、三省堂から出版された新明解日本語アクセント辞典(金田一春彦監修)(秋永一枝編)が良いでしょう。

「こないだ」と「このあいだ」のアクセント記号を見てみますと、どちらも同じ発音です。よって、一文字多いか少ないかの違いだけになります。「こないだ」と「このあいだ」の発音は同じですが、それぞれ二種類の発音があるのです。分かりやすくイメージで説明をいたします。

一つ目のアクセントで、例として「こないだ(の)」という言葉にした場合、「こないだ(の)」のイメージとしては、「ドレレレレ」です。「このあいだ(の)」はイメージが「ドレレレレレ」です。平板式の平板型の種類になり、「こないだ(の)」は四泊の語、「このあいだ(の)」は五泊の語のアクセントになります。

二つ目のアクセントは一つ目と違い、「こないだ(の)」のイメージは「ドレレレド」で、「このあいだ(の)」は、「ドレレレレド」というように、最初の音から上がり、最後にまた下がります。真ん中はずっと平坦な音で、型は起伏式尾高型の種類になり、「こないだ(の)」は四泊の語、「このあいだ(の)」は五泊の語のアクセントです。

「こないだ」と「このあいだ」の発音は、方言の有無によって変わるわけではなく、平板式の平板型になるのか、起伏式の尾高型になるのかは、日常生活で使う後ろに続く言葉によって変わります。前後の言葉に注意をしましょう。発音が気になる方や、標準の発音を身につけたい方にはお薦めのアクセント辞典です。

「こないだ」の正しい言い方

いつも使っている「こないだ」と「このあいだ」の言葉は、ビジネスで使ってはいけない事をご存知でしょうか?二つの言葉は、日常生活での日本語としてなんら間違いはありません。ただ、敬語ではない為ビジネスで使用する事は間違いです。相手に対して失礼にならないよう、これから正しい言い方の説明に入ります。

正しい言い方はあるの?

一体どなたに対して失礼にあたるかと言いますと、社内での上司は勿論ですが、取引先やサービス業であればお客様に対しては特に気を付けなければいけません。日常生活での言葉という事は、ビジネスの世界からみたら「軽い」と思われる言葉だからです。友人に使うような言い回しはしないように気を付けましょう。

さて、正しい言い方はあるの?となりますが、そのような場合、同じ意味を持つ「先日」を正しいビジネス用語として使います。「こないだ」と「このあいだ」の改まった言葉、つまり敬語としてビジネスで最も使用されている言葉が「先日」なのです。ビジネスでは「先日」が正しい言い方として使われております。

「こないだ」の正しい言い方

それでは、「こないだ」と「このあいだ」の正しいビジネス用語として使われております、「先日」という言葉を使った例文をいくつかご紹介いたします。「先日」は、「近い過去の或る日」の事を言いますので、おおよそ1日前~1週間ほどを目安にして下さい。「先日」は主に口頭の時に使います。

例えば、「先日、見積もりの件でメールをいたしましたが、いかがでしょうか」のように、電話での言い方や、「先日お渡しした書類の件ですが、金額のご確認はしていただけたでしょうか」と直接上司に確認をする時に「先日」を使った言葉で相手に伝えます。相手も遠くはない過去を思い出し、対応をして下さることでしょう。

社内の同期や部下に対しては、身構えて「先日」というよりは、「このあいだ」と使った言い方がお互い堅苦しくならずに済みます。ビジネスでは基本的に「こないだ」と「このあいだ」の敬語である「先日」を正しい言い方として使いますが、相手の立場や状況に応じて「先日」を使うか使わないかの判断をすると良いでしょう。

「こないだ」の正しい使い方

ビジネスの世界ではマナーが必ずついてきます。そもそもマナーとは、「エチケットの規範に則って生活しようとする人々の温かい心、善意の表れです」つまり、会社で気持ちよく業務を行えるようお互いに心配りをしましょうという事です。言葉を正しく使っているのか否かで社内の雰囲気、人間関係が変わりますので心得ておきましょう。

正しい使い方は一つだけではない

正しい使い方について説明をいたします。「こないだ」と「このあいだ」の敬語は、ビジネスの場において「先日」という言葉だと先程ご紹介しましたが、実は他にも「過日」(かじつ)と「先般」(せんぱん)という二つの言葉があります。言い方や使い方は一つではありません。

上司や取引先の方には尊敬語を使います。ただ、尊敬語だからとむやみやたらと使っていいものではありません。いくつかある尊敬語の意味を理解し、言い言葉と書き言葉の使い分けが必要です。口頭で言う場合と文書ではどのように使い分けるのでしょう。「先日」「過日」「先般」のそれぞれの使い分けをお伝えします。

正しい敬語の使い分け

まず、「過去の出来事が起こった(日)」で分類する場合は、「先日」と「過日」を使います。「先日」は1日前~1週間前の事を多く指しますが、「過日」は「先日」よりさらに過去の出来事が起こった日を表し、目安としては数か月~半年前の事を言い、一般的にそのように使い分けられています。

「過去の出来事(そのもの)」で分類する場合に使う言葉は、「先般」です。「先日」と「過日」と違い、重点的に置いているポイントの違いについては「日にち」なのか、「出来事」なのかの違いだけです。同じ「過去の出来事」ではありますが、出来事の「日」なのか「出来事」そのものについてなのかを使い分けてみましょう。

文書等の書き言葉やメール、と言い方についても使い方が変わってきます。言い方、つまり口頭の場合は、「先日」を使いますが、書き言葉として使用する場合は「過日」と「先般」を使います。「先般」はビジネスの世界で多くは使用されませんが、「過日」はよく使用する用語なので、正しい書き言葉として覚えておきましょう。

特に、「過日」は文書でしか使用しない事が多くあります。理由は、意味と漢字が全く異なる(かじつ)という同じ音がいくつかある為に口頭では控えられ、文書のみ使用すると考えられます。勘違いを防げ、文書か口頭かを使い分ける事により、お互いにスムーズに業務を遂行する事が出来ます。

ビジネスの上で、「こないだ」の正しい使い方は、「こないだ」と「この間」の敬語である「先日」、「過日」、「先般」という言葉であると説明をいたしましたが、文書と口頭との使い分けのご理解はいただけたでしょうか。社会人になったら言葉の意味を理解した上で正しい使い方をこなせるよう心がける事が必要です。

書き言葉としての「こないだ」

先ほど、「こないだ」の正しい使い方について、書き言葉は「過日」と「先般」を使うようにその説明と、それぞれ何を重点に置いて表すのか、ポイントの説明をいたしました。これから文書やメールでどのような書き言葉にした方が良いのか、どのような時に「この間」を使うのか説明をいたします。

文書やメールでの書き方とその例文

「過日」は数か月前~半年前の「過去に起こった出来事の日」を重点に置いた場合、メールでは、「過日は、貴重なお時間を頂きありがとうございました」というような文書より少し柔らかい感じで相手にお伝えする書き言葉が多くみられます。顔の見えない相手にメールをする場合、はあまり堅苦しい印象にならないようにとの配慮もあります。

文書の場合は、書類によっては数年保存しなければならないもの等がある為、堅苦しい文面はよくみられます。例えば、「過日、貴社からご要望がございました電子記録債権の件につきましては~」というように、後に続く書き言葉は、結果の報告、お詫び、提案等の文書が多く使われております。

「先般」の例文としては、「先般のとおり、本日商品を発送いたしました」等、注文という「出来事」があったので、商品を発送しています。「出来事」を重点に置いた場合はそのように使いましょう。副詞としては「出来事」ですが、名詞として使用する場合は、「先日」の書き言葉として捉えておくとよいでしょう。
 

ビジネスの書き言葉として「こないだ」は使用しないのか

「こないだ」の書き言葉を見る事はまずありません。ビジネスの場合の書き言葉は、ほぼ「過日」、または「先般」のどちらかで使われる事が多いからです。ただ、同僚や部下といった立場が同等、或いは下の者に対しては「この間」という言葉を使ってメールをする場合が見受けられます。

書き言葉の為、「このあいだ」と平仮名ではなく、「この間」と表記しましょう。例文としては「この間は書類作成のお手伝いありがとうございました。おかげさまで締め切りに間に合いました。」といったメールを送ると良いでしょう。ただ、メールでは顔文字を使用しないように心がけて下さい。

ビジネスではなく、日常生活でお手紙を出す時には書き言葉として「こないだ」や「この間」は使用しても問題はないですが、「親しい人だけ」にしましょう。目上の方や、年下でも先生という立場の方には「こないだ」や「この間」と書き言葉として使用してはいけません。

「こないだ」は広辞苑にも載っている

「こないだ」は方言だと思っていたけれど、広辞苑に載っているの?と不思議に思う方もいらっしゃることでしょう。本当に広辞苑に「こないだ」は載っているのです。今年の2018年1月に10年ぶりに出版された第七版には勿論載っております。実はそれよりももっと以前から広辞苑に載っていた事はご存知でしょうか。

広辞苑にいつから載っているのか?

広辞苑は実は20年も前に出版された五版にも載っているのです。広辞苑の出版にあたり、出版の直前に生まれた言葉であっても、全国で使われていなければ当然広辞苑には載りません。その事を考えると、四版以前にも載っているようであれば、四半世紀または、半世紀も前から全国的に「こないだ」という言葉が全国で使用されている事になります。

広辞苑に「このあいだ」は、漢字表記で「この間」と載っています。「こないだ」は「この間」の方言だとの説明は一切ありません。「こないだ」の意味の記載があり、漢字表記は「此間」としっかり一つの言葉として広辞苑に載っているのです。それだけ「こないだ」は日常生活において定着している言葉と考えて良いでしょう。

少なくとも20年も前の広辞苑にも「こないだ」が載っているという事は、半ば「こないだ」は方言として扱われなくなった証拠でもあります。ただ、まだ方言辞典が残っているのも事実であり、根強く「こないだ」は方言だと考えている方もいらっしゃいます。「こないだ」は「方言」か「方言ではない」のかという問いについては正解はありません。

「こないだ」という言葉が「方言」なのか、「方言ではない」のか意見が二つに分かれてしまった場合には、方言辞典に載っている事は勿論ですが、広辞苑に載っている事もお伝えしましょう。このあと、広辞苑に載る基準というものをご説明しますので、それもお伝えするとより良いでしょう。どちらかが正解で間違いではないのです。

そもそも広辞苑というのは?

今年(2018年)久々に発行された事により、広辞苑という言葉を初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれません。広辞苑というのは日本語国語辞典と世界の社会情勢や、図版、地図等を収録されている百科事典としての働きを持っている優れもので、調べたい日本語がある場合、広辞苑で調べるとほぼ載っています。

広辞苑を軽く語りますと、昭和初期に博文館出版による「辞苑」というものがありました。戦前にその改訂を行おうと試みたものの、第二次世界大戦中により、大半の活版を焼失してしまいました。新刊の発行は困難と考えて諦めていたところ、終戦後に岩波書店が改訂作業を引き受けた事により、現在も発行されております。

記念すべき第一版は、1955年5月25日です。それからは7年から10年スパンで新版を発行しており、第五版から10年スパンになったのはたまたまという事でした。流行りの言葉や本当に使われている言葉を見極めるには10年程の期間が必要だと岩波書店編集部の平木副部長はそのようにおっしゃっています。

例えば、過去の広辞苑で「敷居が高い」という言葉の本来の意味は、「不義理があり、その人の家に行きにくい」でしたが、約6割の人が「高級すぎて、そのお店に行けない」という意味で使っており、広辞苑は日本語として定着している言葉を入れる定義の為、後者の意味も七版から正しい意味として載せました。

今必要な事、学ぶべき事

うっかり「こないだ」や「このあいだ」等、普段の言葉をビジネスの場で言わないよう、敬語の本がいくつか出版されております。それだけ今までのしきたりを簡略化し軽んじていた事により、改めて敬語は社会人として必要なものだと認識され、近年マナーや敬語の本が増えたのではないでしょうか。

ただ、言葉を覚えるのではなく、どのような状況の時に使用するのか学ぶ必要があります。本来と違う意味で理解してしまい、最終的に広辞苑にまで影響が出てきてしまった言葉があります。言葉は時代によって変化するものですが、本来の意味と使い方は理解し、日常生活やビジネスで正しく使う事が必要です。

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

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