ギンピーギンピーは日本にも生えてる?猛毒を持ってる最強の植物を紹介

ギンピーギンピーとは奇妙な名ですが、その存在も奇妙です。というより恐ろしいといった方が適切でしょう。ギンピーギンピーは強烈な毒を持つ凡庸な形の植物です。ただの毒ではなく神経毒であり、まさに神経を犯し、精神をも荒廃させる毒なのです。それは時に自ら死を選ぶほどに。

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目次

  1. 1ギンピーギンピーの猛毒が超危険だった!
  2. 2ギンピーギンピーとは?
  3. 3ギンピーギンピーの毒性が分かる実話
  4. 4ギンピーギンピーは日本にも生えてる?
  5. 5猛毒をもつ他の危険植物を紹介
  6. 6植物の逃避行動とは?
  7. 7生き物のいやったらしさ

ギンピーギンピーの猛毒が超危険だった!

奇妙な名のギンピーギンピー。その正体は、ありふれた佇まいを持つ、ただの植物。しかし、侮ることなかれ、一度その毒がまわった後には地獄落ちの責苦が、永遠かと思われるほどの年月が、不殺生の蟻地獄のように待ち受けているのです。

ギンピーギンピーとは?

ギンピーギンピーの英語名はGympie gympie、Gympie stingerなど多数ありますが、その中のスティンガーとは「刺す者」の意味です。これが表す通り、ギンピーギンピーは全身を有毒性の刺毛(トゲ)に覆われています。実までビッシリ生えたトゲに触れれば、たちどころに人体へ神経毒が送り込まれる大変危険な植物なのです。

原産はオーストラリア

ギンピーギンピーの自生地は、オーストラリア北東部の熱帯雨林です。オーストラリアといえば、日本では馴染みの海外の観光地ですが、その自然が広く世界に知れ渡ったのは、つい最近のことです。

1606年、その大陸に初めて足を踏み入れた白人は、オランダ人のWillem Janzでした。それ以前の16世紀頃の世界地図には、周りが荒い海であったため「Terra Australis Incognita」=「南方にある未知の大地」と表示されていました。

その独特な自然において、群を抜いて危険で恐ろしい生物は大型獣ではなく、見た目平凡な植物でした。オーストラリアに自生しているイラノキ属の中で、最も強い毒性の持ち主であるギンピーギンピーだったのです。画像はメルボルンのケーキ屋のような寿司ショップです。

見た目は普通の植物

ギンピーギンピーの葉の見た目は、しその葉をでかくしたような形をしています。近づいてよく見ると、グラスファイバーのような細かいトゲトゲが表面を覆っています。花は小さく、受粉すると果実をつけるため膨らみます。

ギンピーギンピーは、熱帯雨林と人間の生活圏との間で群落を形成します。そういった境界面を袖群落、マント群落といい、森を守る皮膚やカサブタのような働きをしています。境界を生むのは人間と川となる雨水で、それらが樹木等の緑を剥がして土壌を撹拌し、地面を直接太陽光に晒すのです。

そのような土地で、逸早く芽生え急成長する植物の仲間がギンピーギンピーなのです。人目を引かない平凡な容姿を持つギンピーギンピーは、容易に人を寄せ付けない深山や、険しい渓谷断崖などに自生しているのではなく、人の暮らしと接するような場所に、しれっと生えているのです。

ほぼ全体的に毒性の強い刺毛がある

ギンピーギンピーは全身を刺毛(トゲ)で覆われています。触ったらアウト、どこか掴める所なんてありません。恐ろしいことに、空気中に軽いトゲが羽毛のように舞い散ることもあるのです。ふざけて近づいて、ギリギリセーフは通用しません。とにかく離れましょう。

ギンピーギンピーの刺毛に触れてしまった治療法としては、10倍に希釈した塩酸を塗布すること、もしくは脱毛ワックスを使ったトゲの除去が推奨されています。

間に合わせとして、粘着テープとピンセットを併用した除去が望ましいとされます。大事なのスピードより丁寧さ。細かい刺毛を壊さないよう、最善の注意を注がなければなりません。破片が体内に残った場合、激痛の悪化と長期化を招くことになります。

実は食べられる

ギンピーギンピーの実は見た通り、赤味の強い紫色をしています。インスタにアップした人は鮮やかなピンク色と表現しています。素手に盛られていますが、実の表面にも恐ろしい毒の刺があるので、これはトゲを除去する何らかの処理がされた後と思われます。

これをアップした人によると、「植物学者は科学の名のもとに果実を味わった」とあります。感想は「果実は無味ですが、とても新鮮でシャキッとした食感があります」とあり、また「残念なことに見かけほど美味しくはない」ともいっています。

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ギンピーギンピーの毒性が分かる実話

オーストラリアの開拓時代に、イギリスの探検家がギンピーギンピーを採取し本国に送りました。採取された葉は今でも大英博物館に保管されています。このカラッカラッに乾燥した葉は、200年以上経って今でも毒性が維持されていそうです。この一例をとっても、いかにギンピーギンピーの毒が恐ろしいか分かります。

2年間も痛みに苦しむ

ギンピーギンピーの毒に犯されてしまった人の経験談よると、最初の数日間、激痛が走った後、眠れないほどの痛みが2年もの間止まなかったといいます。

オーストラリアクイーンズランド州のアサートンテーブルランドにおいて、ギンピーギンピー研究者のマリナ・ハーリーは3年間、防護服を着用して研究に当たっていました。まず彼に現れたのは、くしゃみと同時のひきつけ、鼻水、涙を催す症状で数時間続きました。

そのアレルギー症状は、何度もギンピーギンピーに曝されることで深刻化していきました。彼は入院しましたが、酷い痒みと蕁麻疹(じんましん)を抑えるため、ステロイド剤による治療を必要としました。ギンピーギンピーの刺は毛と同じ細さ、空気中を舞います。専門家ですら扱い辛いものなのです。

痛みに我慢できず自殺

どこまで本当か定かではありませんが、保安官がギンピーギンピーの葉をトイレットペーパー代わりに使ってしまったという話があります。その人は痛みに耐え切れず、銃で自殺してしまったそうです。あくまでウワサていどの話ですが。

また、別の人の話では、偶々ギンピーギンピーが顔に当たってしまい、その痛みに耐えかねて崖から飛び降り自殺を図ったそうです。これもウワサの域を出ません。

馬や犬がショック死

当然ながら、ギンピーギンピーによる被害例の話は、人だけでなく動物にもあります。馬と犬が痛みでショック死したと言われています。が、これも確たる情報源がありません。ただ、ショック死というより、家畜やペットに保険の利かない医療費をかけ、根気よく治療することが少ないという結果かもしれませんが。

兵器利用も画策されていた

その強い毒性に注目した第二次世界大戦時下のイギリスでは、ギンピーギンピーの軍事利用が画策されました。その刺毛を空気中にばらまく作戦です。細かなトゲが全身を襲いますが、とくに効果的なのは呼吸器官に刺さり、呼吸困難に陥ることでしょう。

死に至らしめるというより、その悪魔的不快と痛みによる苦しみが、一般国民と兵士の戦意を喪失させます。戦闘においては、兵士の戦闘不能状態と互助による戦闘員減少が起きるはずです。この計画は未遂に終わったそうです。国家総動員中の戦争では、あらゆることが試みられますから、ありそうな話です。

ギンピーギンピーは日本にも生えてる?

そのような報告例は一度もないので安心してください。ただ、好奇心と軽はずみな行動で、国内に持ち込まれる可能性はあり得ます。ギンピーギンピーの自生しているクイーンズランド州の熱帯性モンスーン気候と、もとから湿潤で、最近の酷暑な日本の環境は似てきています。ヘタをしたら帰化する可能性だって否めないのです。

猛毒をもつ他の危険植物を紹介

毒があるから無価値(価値という概念自体が人にとっての有価値)というワケではありません。有毒植物のなかには銀杏、梅、ジャガイモ、ワラビのように、毒を持ちつつ処理によって食料になるものもあります。薬草は言うに及ばないでしょう。昔から、毒がなければ薬にならないとさえ言われています。画像の植物はジキタリスです。

デスカマス

(マウンテン)デス・カマスは、米国西部で羊など草食動物に中毒を起こさせる球根植物の総称となっています。「Camas」はユリ科の球根植物「Camash」からの由来と思われます。画像を見た通りホワイト・カマス「White Camas」とも言われます。

カナディアンロッキー、海抜2200m付近の谷筋の道端に咲く姿は、中々可憐であり美味しそうにさえ見えます。葉はイネ科もしくはスゲにも似て、柔らかくW字型に折れ曲がり、粉白色であるのが特徴です。クリーム色の花をつけ花弁中央に緑色の班があります。

マンチニール

マンチニールは、トウダイグサ科に属する被子植物です。北アメリカ南部から南アメリカ北部にかけ自生しています。「Manchineel」「Manchioneel」という名前と学名の「mancinella」は、スペイン語で「小林檎」を意味する「manzanilla」に由来します。

マンチニールの葉と果実はリンゴと良く似ているのが理由です。現在のマンチニールのスペイン語での名は「manzanilla de la muerte」=「死の小林檎」となっています。この他にも、マンチニールは英語で「beach apple」としても知られています。

植物の逃避行動とは?

植物には、致命的な毒を持つ種はあまり多くありません。しかし、食べるには苦味、渋味、不快感、一時的健康をともなうものが非常に多いのです。それを摂取する生物にとって、何らかの害になり食用として適さない種の方が一般的ではないでしょうか。

植物は自ら動けず摂取者から逃避行動がとれません。相手を殺さずとも、「不味さ」は摂食を免れる手段として目的を十分達成しています。植物の中でも食用としての価値がなく、特に有毒性の強い種が「有毒植物」と呼ばれています。

生き物のいやったらしさ

無敵の印象を与えるギンピーギンピーですが、その毒が通じない相手もいます。まず、虫には無効です。ここまでは何となく素人でも分かります。次に鳥、そしてアカシアワラビーなど数種類の小型有袋類ときます。鳥はともかく、動物である有袋類とは驚きを禁じ得ません。

彼らにとってギンピーギンピーの葉は、ただのエサなのです。2006年には、それへのカウンター(?)でもあるかのような、刺毛は持ちつつ触っても痛みをもたらなさい新種のギンピーギンピーが発見されました。

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