方言「しんどい」の意味は？地域ごとの使い方を紹介

しんどいという言葉は、普段何気なく使っている人も多いでしょう。しかし、これは標準語ではないことを知っていましたか。このしんどいという言葉は、主に広島や岡山などの中国地方や、大阪など近畿地方でよく使われる方言です。

標準語圏や北海道など、他の地域でも耳にすることもあるので、しんどいは標準語だと思っている人も多いようです。元は関西の方言で、交通が発達し人の行き来が盛んになっていく中で、大阪などから遠く離れた地域でも使われるようになってきました。

今ではテレビなどの影響により、しんどいと言う方言は全国区になりつつあります。自分では使わなくても意味はなんとなく分かると言う人も多いでしょう。今回はそんなしんどいと言う方言について掘り下げて紹介します。

しんどいという方言は、標準語で表すといくつもの意味になることを一つの言葉で表しています。そのため、文脈から、その時々に適した意味を汲み取る必要があります。地域によってもニュアンスに少し違いがあったりして、どう言う意味なのか悩んでしまうこともあるかもしれません。

また、しんどいという方言は意外と古くから使われており、江戸時代後期の書物にも見ることが出来ます。昔から使われているしんどいという方言の意味と由来について紹介します。

しんどいという方言は、人物にかかるときには、疲れた、だるい、辛いなどの意味を表し、物事にかかるときには、大変だ、面倒だ、骨が折れるなどの意味があります。使う場面や地域で多少意味に違いが見られることがあります。

しんどいという方言と似た意味の方言として、地域によっては「きつい」「えらい」などが使われています。えらいなどは、標準語のえらいとは意味が異なるので、混同しないよう注意が必要です。

きつい、やえらいなどの方言と、しんどいという方言、どちらも使われている地域では、使う場面によって使い分けられていたり、微妙に意味の違いがあるようです。

しんどいという方言の由来は、心労（しんろう）の語尾が変化した「しんど」が元になっています。辛労（しんろう）と書かれることもありますが、くたびれることや、心身ともに大変な労力がいることを表す言葉です。

大阪など、関西の方では、しんどいをしんどと言うことがありますが、ただ単純に略しているのではなく、このような由来から、しんどが元の方言だったと言う捉え方もも出来ます。

京都の方言と聞くと、舞妓さんの話し方が思い浮かぶ人が多いでしょう。京都の方言は、基本的に大阪などと同じ関西弁が元となっていますが、大阪のように早口で喋るのではなく、全体的にゆったりとしていて上品なイメージがあり、憧れる人も多い方言です。

京都の人に、大阪などと一括りに関西弁というと怒られてしまうかもしれません。京都では、方言や京都弁とは言うのは好まれず、京言葉という言い方をします。そんな京言葉で、しんどいはどのような意味になるのでしょうか。

京都の方言でしんどいというのは、標準語では疲れる、くたびれるという意味です。同じ意味で、えらいという言葉を使うこともあります。もう一つの意味として、物事に対して大変、骨が折れるという意味でもしんどいという方言が使われます。

京都の方言で、疲れるという同じ意味で使われているえらいという言葉もありますが、しんどいの方が圧倒的によく使われています。そんなしんどいという言葉の使い方の例文を紹介します。

兵庫県は近畿地方と中国地方に挟まれた所にあります。イントネーションから、関西弁だと認識されることの多いですが、場所によっては岡山県など中国地方の方言が混ざっていたり、大阪弁とは違いがあります。

兵庫県の方言は、地域によっても違いがあります。但馬弁は、広島や岡山などの中国地方の方言の影響を受けており、淡路弁は大阪の方言の影響が強かったりと地域で方言にも特色があります。

兵庫の方言でしんどいは標準語では疲れるという意味です。京都と同じように、えらいという方言がが使われることもあります。ただ、しんどいは単純に体が疲れている時だけでなく、精神的に疲れている状態でもよく使われます。
 

兵庫では、しんどいは身体的、精神的に疲れている時に使います。標準語では（疲れているから）めんどくさい、（疲れるから）やりたくないなどの気持ちを表すこともあります。
 

奈良は、近畿地方にあり、京都と並ぶ古都として知られています。昔から、大阪や京都と伊勢などを結ぶための交通が発達していたので、奈良の方言は、大阪弁や京言葉と似た響きが多いです。

しかし、奈良の方言は大和弁とも言われ、大阪のちゃきちゃきした印象とも、京都のはんなりとした印象とも少し違う印象を受けます。そんな奈良の方言でしんどいはどういう意味になるのでしょうか。

奈良の方言でしんどいは標準語で体調が悪い、身体の調子が悪いという意味です。同じような意味では、きついという言葉も使われます。
 

奈良の方言でしんどいは、体調が悪い、身体が重い時などに使われます。イメージとしては、疲れていて身体がきついという感じです。しかし、奈良では、同じ意味のきついという言葉の方が一般的によく使われているようです。
 

広島は、岡山などと同じ中国地方にあります。よく岡山の方言と混同されますが、岡山の方言は割ときつい印象に聞こえるのに対し、広島の方言は、〜じゃけんなどの語尾に特徴があり、書くと強く感じられますが、実際に聞くと可愛らしさがあります。

標準語圏の人にはお隣の岡山弁との違いが分かりにくいですが、県民からは、広島の方言と岡山の方言ははっきりとした違いがあります。広島の〜じゃけんは岡山では〜じゃけぇなあと言うなど語尾やイントネーションで見分けることが可能です。

広島でしんどいという方言は、標準語で疲れる、めんどくさいという意味です。しかし、広島県内では、意味は分かってもしんどいという方言はあまり使われず、えらいなど複数の言葉が使い分けられています。
 

広島では、しんどいという方言よりも似た意味で使われている言葉に、えらい、やたいぎいがあります。しんどいが、一つの単語で、心身がきついことを両方表してますが、広島では、状況によってえらいとたいぎいが使い分けられています。

身体的にきつい時には、えらいが使われ、めんどくさいなど気持ち的にきついような状況の時にはたいぎいが使われるのが広島の方言の傾向です。

えらいは、標準語で言う偉いではなく、しんどいと同じように疲れる、きついなどの意味で使われています。標準語の意味で思っていると会話が噛み合わないことがあるので注意が必要です。
 

北海道は、日本の県の中で最北端にあり、観光地としても人気です。そんな北海道は、四方を海で囲まれているので、方言も独自の進化をしていて特徴的です。

しかし、北海道が開拓された時には全国から開拓者が来ていたため、関西などの方言に影響を受けている地域もあり、北海道内でも、地域ごとに特色もあります。

北海道の方言でしんどいは、標準語では大変だ、つらいという意味です。しかし、似た意味の言葉に北海道の方言では、こわい、やゆるくないという言葉があり、こちらの方が一般的に使われています。

北海道では、しんどいという方言はあまり使われません。その代わりに、似た意味で身体的にきつい時にはこわい、という方言を使い、精神的にきつい時にはゆるくないという言葉を使うことが多いです。

標準語では、こわいは怖いという意味ですが、北海道では、風邪を引いて身体がだるい時や疲れている時に使います。ゆるくない、というのは、簡単には行かないために、精神的なきつさを伝えたい時に使うことが多いようです。
 

沖縄は、全国でも有数の観光地です。沖縄の方言はうちなーぐちとも言われ、とても独特で、まるで外国語のようだと言われることもあります。

県外から旅行に行った時などに会話を聞いても何を言っているか分からないという経験をした人も多いでしょう。しかし、のんびりとした沖縄の方言を聞いていると、意味は分からなくてもなんだか楽しくなってしまう不思議な魅力があります。

沖縄の方言でしんどいは、疲れている、体調が悪い、大変などの意味がありますが、状況に応じてしんどいの代わりに色々な方言で表されることが多いです。沖縄でしんどいと言うと、少しかっこつけているように思われてしまうかもしれません。
 

沖縄の方言は、独特の言葉や言い回しが多いです。しんどいという方言と似た意味の言葉も、くたーて、うたたん、あんまさんなど多くの言葉がありますが、どれも一見して何を言っているのかさっぱり分からないものばかりです。

くたーて、とうたたんはどちらも疲れた時などに使われていて、あんまさんは体調が悪いという意味で使われています。このような色々な言葉をしんどいという方言は一つの言葉で表しています。
 

しんどいと言う方言に似た言葉は、日本全国に様々あります。しんどいという方言も使われていて状況に応じて使いわけがされているものもあれば、しんどいという方言が使われず、代わりとしてその言葉が使われているものなど、使い方は地域によって異なります。

しんどいに似た言葉で、東北地方や北関東などは北海道で使われているのと同じ「こわい」が変化した形の方言が多いようです。中部地方の新潟も同じです。

中国地方の岡山と四国地方の愛媛も疲れると言う意味のくたびれるから来ているので似ています。九州地方は福岡のきつい、や鹿児島のだれるなど、言葉の雰囲気から意味がなんとなく理解できるものが多い傾向にあります。

特色かあるのは滋賀県のほっこりするでしょう。標準語の意味を考えるとなんだか可愛らしい感じがしますが、これもしんどいと同じように疲れると言うような意味合いで使われている言葉です。
 

しんどいと言う方言は、元は関西の方言ですが、今ではいろんなところで使われていて、標準語に近い言葉です。関西以外でも、耳にする機会も増え、方言ですが意味が通じる地域が多いでしょう。

そしてしんどいと言う方言は、一つの言葉で色々な意味をもつ使い勝手の良い言葉です。自分の気持ちや状態を表すだけでなく、しんどいな。（疲れたね。）など、相手に共感し寄り添うような時にも使うことができます。

しんどいと言う方言を使いこなすことで、コミュニケーションを円滑にすることができる便利な言葉なので、関西出身でなくてもぜひ使ってみてください！また、自分の出身地でしんどいにあたる言葉が何かを調べてみるのも新たな発見があるかもしれません。