うさぎに肉球はあるの?肉球がないのは本当?嘘?
ペットやマスコットとして人気の高いうさぎ。うさぎに肉球がないというのは本当でしょうか。ここでは、うさぎの特徴や肉球の役割、うさぎに肉球がない理由などについて考えていきます。また、肉球がないからこそ気を付けたい、うさぎを飼う際の注意点についても見ていきます。
目次
うさぎには肉球がないって本当?
うさぎと言えば、子どもから大人まで大好きな、愛くるしい動物です。ペットとしても人気で、直接触れ合える機会が設けられている動物園もあります。
そんな誰からも愛されるかわいらしいうさぎですが、肉球がないという噂を聞いたことはありませんか?肉球がある動物と言えば、まずネコやイヌを思い浮かべますが、なんとなく4本足の小動物には肉球はあるものだと思い込んでいませんか?
ここでは、そもそもうさぎとはどういう動物か、肉球の役割などについて見ていきます。
うさぎってどんな動物なの?
そもそも、うさぎとはどのような動物なのでしょうか。知ってるつもりのうさぎですが、改めて考えてみると、うさぎについて正しく理解しているのでしょうか。
まず、うさぎとはどのような動物なのか、その特徴を整理してみます。
聴力や臭覚が優れている
まずうさぎは、聴力と嗅覚が優れている動物です。大きな耳が特徴の動物ですので、聴力が優れているのはイメージしやすいのですが、嗅覚も同様に優れています。うさぎの嗅覚は人間の10倍ほど鋭いと言われています。
うさぎに近づくときは、大きな物音や声を出さないように注意しましょう。汗や香水、強い柔軟剤の匂いも嫌がります。特にペットとして飼われている方は注意してあげてください。
視力は弱い
うさぎは聴力と嗅覚が優れている一方、視力は弱いようです。草食動物ですので、視野は広く、薄暗いところでも見えるようですが、視力は低く、0.05程度だと考えられています。
うさぎの目は顔の左右についていますので視野は広く、360度見ることができるそうです。ですが立体視できる範囲は前方10度程度と狭く、遠近感を掴むことは難しいようです。
また、自分の口元も見えていないので、エサを食べるときはしきりに鼻をクンクン言わせている様子を見ることができます。
ほとんど鳴かない
また、うさぎには声帯がなく、鳴くことはありません。声がない代わりに、身体を使ってコミュニケーションをとるようです。
例えば、後ろ足で地面を蹴る「スタンピング」と呼ばれる動作で、大きな音を出すことができます。お母さんうさぎの「とんとん」の合図で子うさぎが穴から飛び出してくる、なんていう絵本もありましたね。
うさぎに肉球はある?
ここまで、うさぎの特徴について見てきました。うさぎは聴力と嗅覚が優れている一方で視力は弱く、声帯もないためほとんど鳴くことはないということが分かりました。
では、うさぎには肉球はあるのでしょうか。結論を言うと、「ほとんどのうさぎには肉球はありません。」ごく一部のうさぎにのみ肉球があります。
ここからは、肉球の役割や、なぜほとんどのうさぎには肉球がないのかを考えていきます。
そもそも肉球の役割とは?
そもそも肉球とは何で、何のためにあるのでしょうか。肉球とは、正式には「蹠球(しょきゅう)」という名称です。
前足について、人間の手のひらにあたる大きな部分を掌球(しょうきゅう)、その周りの小さなものを指球(しきゅう)といい、5つあります。人間の親指にあたる指球だけが少し離れた位置にあります。さらに離れた位置にある肉球を手根球(しゅこんきゅう)といいます。
後ろ足にあるものはまた呼び名が違っていて、手のひらにあたるものを足底球(そくていきゅう)、その周囲の小さなものを趾球(しきゅう)といいます。
滑り止めの役割
肉球の表面は分厚い角質層、つまり皮膚で、その皮膚の下に、弾性繊維という脂肪を含んだ繊維が入っています。角質層の表面は顆粒状になっており、滑りにくい表面状態と言えます。
よって、肉球の役割の一つに、「滑り止め」の効果が挙げられます。固い斜面や岩の上でその効果が発揮されます。また、肉球によってモノを掴んだりすることもできるようです。
消音の役割
肉球の中身は、脂肪を含んだ繊維である弾性繊維です。ぷにぷにしていますので、足音を吸収することができます。自分の足音を消して、そっと獲物に近づくことができます。
衝撃緩和の役割
肉球の役割、3つ目は衝撃緩和です。肉球特有の、あのぷにぷにが、走ったり高いところから飛び降りたりするときの吸収を和らげてくれているのです。
うさぎに肉球がない理由
ここまで、肉球の役割について見てきました。肉球の役割は大きく3つあり、「滑り止め」、「足音を消す」、「衝撃吸収」でした。
では、なぜこの役割をもつ肉球が、うさぎにはないのでしょうか。その理由について考えてみましょう。
平坦な土地に住んでいる
多くのうさぎは、平坦な森林や草原に住んでおり、滑り止めを持つ必要がないと考えられています。
また、草食動物であるうさぎは、逃げようとする獲物を掴んでおく必要もありませんので、やはり滑り止め効果のある肉球は必要なかったと言えます。
足音を消す必要がない
また、うさぎは草食動物ですので、獲物を捕らえる必要がありません。足音を消す必要があるのは、肉食動物が獲物にこっそり近づくためですので、草食動物であるうさぎは足音を消す必要がありません。
あるいは、前述の「スタンピング」という動作を行うときに、大きな音を出すことができず、仲間に危険を知らせることができなくなってしまうかもしれません。
うさぎをペットとして飼う際の注意点
ここまで、うさぎの特徴や、肉球の役割、うさぎに肉球がない理由について見てきました。野生のうさぎは、滑らない環境で暮らしており、足音を消す必要がない状況でした。
では、うさぎをペットとして飼う際には、どのようなことに注意して飼育すればよいのでしょうか。ここからは、うさぎをペットとして飼う際の注意点について見ていきます。
床にはクッションなどを敷く
室内で飼育されているうさぎによく見られるトラブルは、ソアホックという足裏の病気です。これは、後ろ足に負荷がかかることで発生するトラブルです。
ケージの中の床が硬くてツルツルした素材では、肉球がないうさぎの足は圧迫され、皮膚が壊死してしまうのです。その少しのキズが原因で炎症を起こしてしまいます。うさぎを飼うときは、床にクッションなど柔らかい素材のものを敷いてあげましょう。
骨折しやすい
次に飼育されているうさぎによく見られるトラブルは、骨折です。
うさぎの骨はそもそも脆く、骨折しやすいのです。それに加え肉球がありませんので、着地した際の床が固い素材であればなおさら衝撃を吸収することができず、骨に負荷がかかってしまい、骨折というトラブルを起こしてしまいます。
床を柔らかい素材に変えてやるだけでなく、必要があればクッションのようなふかふかしたものを設置してあげましょう。
肉球のあるうさぎも存在する
ここまで、うさぎの特徴や肉球の役割、多くのうさぎに肉球がない理由について考えてきました。
うさぎの一部の種類には肉球があるそうですが、それはどのような品種のうさぎなのでしょうか。ここからは、肉球をもつうさぎについて見ていきます。
エゾナキウサギ
肉球を持つうさぎ、1種目は「エゾナキウサギ」と呼ばれる品種のうさぎです。こちらのうさぎは、北海道など雪の多い地域の岩場に生息しており、肉球の役割である「滑り止め」効果が発揮されていると言えます。
エゾナキウサギはうさぎの仲間ですが、耳が小さく見た目はネズミのようです。また、この種類のうさぎは鳴くこともできます。ずいぶん早い段階で、ほかのうさぎと進化の道が分かれているのかもしれません。
レッキス
レッキスとは、ペットとしても人気があり、ビロードのような品の良い毛並みが魅力です。こちらのうさぎは、一見すると毛に覆われた足をしていますが、毛をかき分けると肉球が確認できる個体もあるようです。
肉球がある動物
ここまで、うさぎの特徴や肉球の役割、うさぎに肉球がない理由などについて見てきました。では、どのような動物には肉球があるのでしょうか。
肉球の役割は、「滑り止め」、「足音を消す」、「衝撃吸収」の3点でした。このような役割が必要な動物とはつまり、肉食動物です。ネコ科、イヌ科、クマ科などの動物には肉球があります。
また、有袋類であるカンガルーやコアラにも肉球があり、それは食性より生活環境によって肉球が発達したと考えられます。
多くのうさぎには理由があって肉球がない
ここでは、うさぎの特徴や肉球の役割、ほとんどのうさぎに肉球がない理由や、肉球をもつうさぎの種類について見てきました。
自然界で生息するうさぎには肉球が必要ないという理由がありますが、ペットとして飼育する場合は自然界と同じようには考えることはできません。
うさぎをペットとして飼育する際は、肉球のない足に負担をかけないよう、うさぎにとって優しい環境を作ってあげてください。