ロブスターには寿命がない理由!不老不死の生き物というのはデマ?
2015年頃からネット上に、ロブスターには寿命がないという噂が広まり、ロブスターの寿命に注目が集まっています。そこで、今回は気になるロブスターに寿命がないという噂の真相について、取り上げていきましょう。噂の真相が気になる人は、ぜひ注目してみてください。
目次
ロブスターに寿命がないって本当なの?
西洋では古くから高級食材として楽しまれ続けているロブスターですが、最近そのロブスターは不死身という説がネット上で広まり、話題になっています。その噂の真相やロブスターの不死身説が広まった理由が、気になる人は多いでしょう。
そこで、今回は最近ネット上で広まっているロブスター不死身説の真相に迫っていきたいと思います。後半では不老不死説があるロブスター以外の生き物にも触れるので、不思議な生き物に興味がある人は、ぜひ注目してみてください。
そもそも「ロブスター」とは?
ザリガニのような大きなハサミを持つロブスターは、オマールエビとも呼ばれる高級食材です。大型のエビで体長は平均50cmほどですが、中には120cmもの大きさのロブスターもいるとされています。
主に大西洋から地中海やカリブ海にかけた地域に生息するロブスターは、古くから欧米諸国で高級食材として扱われてきました。
白い身はタラバガニのような味と質感がするので、20世紀から日本にロブスターが輸入されるようになってからは、日本でも人気を集めています。
生涯脱皮を繰り返すロブスターは、特に寿命が長いエビとされており、100歳を超えると思われるロブスターも時々発見されているのです。
ロブスターと伊勢海老の違い
大きさや見た目が似ており、どちらも高級食材として有名なことから、伊勢海老とロブスターを混同してしまっている人もいるでしょう。
実は「ロブスター」は大型のエビ全般を意味します。そのため、生物学的にはロブスターと伊勢海老は同じ生き物と言えるでしょう。しかし、ロブスターと伊勢海老には見た目と身の食感に大きな違いがあるのです。
ロブスターには大きなハサミがありますが、伊勢海老にはありません。また、ロブスターの方が伊勢海老よりも歯ごたえのある食感がするのです。さらに、ロブスターの方がより獰猛な性格をしており、仲間同士で傷つけ合うこともよくあります。
このように、ロブスターと伊勢海老には様々な違いがあるのです。違いを把握すればロブスターと伊勢海老を見分けることは簡単なので、ロブスターと伊勢海老の違いをしっかり覚えるようにしましょう。
ロブスターの主な種類
ロブスターは生息地によって、ヨーロピアンロブスターとアメリカンロブスターに大別できます。ヨーロピアンロブスターとアメリカンロブスターは、大きさや成長スピードなどに違いがあるとされているのです。
以下では、この2種類のロブスターについて、詳しく解説していきましょう。
ヨーロピアンロブスター
大西洋から地中海にかけた地域に生息しているヨーロピアンロブスターは、体長は30cm~70cmほどで、背中が青みがかっているという特徴を持っています。平均寿命は70年と考えられているのです。
ヨーロピアンロブスターは特にイギリスの港でよく取れるので、主に欧米の高級レストランに提供されています。ちなみに、アメリカンロブスターよりもさらに身が柔らかく甘いため、比較的高値で取引されているのです。
アメリカンロブスター
大西洋からカリブ海にかかる地域に生息しているアメリカンロブスターは、100cmを超える体長の個体もよくいるほど大型のロブスターです。
ヨーロピアンロブスターが生息している地域の海よりも冷たい梅に生息しているため、ヨーロピアンロブスターよりもゆっくり成長するとされています。そのため、ヨーロピアンロブスターよりも、平均寿命は長いとされているのです。
また、アメリカンロブスターは強力で大きなハサミを持っており、そのハサミで獲物を捕獲して食べます。アメリカンロブスターの身は弾力があり甘く、ミソが濃厚なため、世界中で愛されているのです。
欧米ではグリルしたり蒸したりして食べることが多いとされています。
アメリカンロブスターのハサミ
アメリカンロブスターには、大きなハサミがあるという特徴があります。しかし、そのハサミをよく見てみると、左右で大きさが違うことや使い方が違うことに気付くでしょう。以下では、アメリカンロブスターのハサミについて、触れていきたいと思います。
左右のハサミで用途が異なる
アメリカンロブスターのハサミは、左右で使い方が異なります。物を砕くために使うハサミは「クラッシャー」、物を細かく切るために使うハサミを「カッター」と呼ぶのです。
アメリカンロブスターは固い外殻に守られている貝類も好んで捕食します。その際に、「クラッシャー」で貝の外殻を砕き、「カッター」で貝の身を細かく切って食べるのです。
物を砕くために使う「クラッシャー」は頑丈である必要があるため、「カッター」よりも大きくなります。
生後2週間以内にハサミの用途が決まる
アメリカンロブスターのハサミの左右どちらが「クラッシャー」あるいは「カッター」になるのかは、最初にどちらのハサミを砕くために使ったかによって決まります。
生後2週間以内に最初に砕くために使ったハサミが「クラッシャー」になり、もう片方のハサミが「カッター」になるのです。
個体によって左右どちらのハサミを最初に砕くために使うかは異なり、2週間以内にどちらも砕くために使わなかった場合は、どちらも「カッター」になるとされています。
このように、ロブスターは寿命の長さだけでなく、ハサミにも不思議がたくさんある生き物と言えるのです。
ロブスターに寿命がないと言われる理由
ロブスターに寿命はないと囁かれる理由とは、一体どのような理由なのでしょうか?以下では、ロブスターが不死とされる理由について、詳しく取り上げていきたいと思います。ロブスターに寿命がないという説に興味がある人は、ぜひ注目してみてください。
1.脱皮を繰り返して成長
ロブスターは一生涯脱皮を繰り返して、成長し続けます。そのため、臓器の機能や生殖機能などが衰えていくスピードが遅いため、基本的に寿命が長くなるのです。
天敵に捕食されることがなければ、100年以上生きることもあることから、理論上不死という説が持ち上がったと考えらえます。
2.内臓も脱皮するので老化が遅い
ロブスターは他のエビとは異なる特殊な脱皮の仕方をします。ロブスターは外殻のみなならず、内臓の外皮も一緒に脱皮し続けるのです。そのため、内臓が衰えるスピードも遅く、何十年経っても内臓機能も外側も若い状態を保つことができます。
そのため、ロブスターは不死であるという説が真実味を帯びて広まったとされているのです。しかし、ロブスターが脱皮できるのは消化に関する臓器のみなので、完璧な不老不死ということではありません。
ロブスターの老化を遅くするテロメアの特徴
ロブスターに寿命がないという説が広まった理由の背景には、ロブスターの老化を遅くしているとされる特徴的なテロメアが関係しています。
テロメアとは、生き物の細胞の中にある染色体には必ずあるとされる部分で、染色体の両端に付いているとされているのです。このテロメアは、細胞分裂を繰り返すごとに短くなるとされており、一定の短さになると細胞は死滅し、生物は死を迎えることになります。
しかし、ロブスターはテロメアを伸ばすとされる合成酵素のテロメラーゼの働きが活発であることから、長期間テロメアを長いまま維持することができるのです。
そのため、生涯外殻と消化器官の外皮の脱皮を繰り返しても、テロメアが短くなりにくく、結果的に寿命が長くなると考えられます。
テロメアにロブスターの長寿の秘密かあるとは驚きでしょう。ロブスターのテロメアの研究が進めば、人間の寿命をさらに伸ばすことができるかもしれません、
ロブスターは本当に不老不死なのか?
ロブスターに寿命がないという驚きの説に、疑いの目を向けている人は多いでしょう。以下では、ロブスターに寿命がないとされる説の真偽を、確認していきたいと思います。
ロブスターに寿命が無いという説の真相が気になる人は、ぜひ注目してみてください。
心臓や脳は脱皮せず老化する
ロブスターは内臓も脱皮し続け、内臓機能を若いまま維持するという特徴が、ロブスターに寿命がないという説の主な根拠になっています。
しかし、ロブスターが脱皮できるのは消化器官の外皮のみなので、消化器官以外の臓器は、他のエビと同じように老化していくのです。
生命維持の根幹に関わる心臓や脳などの器官も衰えるため、ロブスターもいつかは必ず寿命が尽き死に至ります。つまり、ロブスターに寿命がないという説は間違いと言えるでしょう。
脱皮不全で死んでしまうことも多い
最近ネット上では寿命がないと囁かれているロブスターですが、実はロブスターは脱皮が上手くいかないことで死んでしまうことがよくあるのです。
内臓の外皮まで脱皮するとなると、脱皮したい外皮が引っかかり、上手く脱皮できない確率が上がってしまいます。外皮が内臓に悪影響を与え、死に至ってしまうのです。
ちなみに、脱皮不全はロブスターの死因第一位ともされています。寿命がない説の根拠とされている脱皮が、主な死因になっているとは意外でしょう。
脱皮直後は外敵にも狙われやすい
ロブスターは脱皮前は固い外殻に覆われているので、敵に襲われても深刻なダメージを負いにくいのです。しかし、脱皮直後の外殻はとても柔らかいため、ロブスターは脱皮直後に敵に襲われて死んでしまうこともよくあるのです。
また、内臓まで脱皮するロブスターは脱皮に手間取ってしまいがちでもあります。脱皮に集中している間に、敵に狙われて捕食されてしまうことも多々あるとされているのです。
不死説の主な根拠である脱皮が間接的な死因にもなっていることから、やはりロブスターに寿命がないという説はデマと言えます。
不老不死ではないけれど長寿ではある?
ロブスターに寿命がない説の根拠について調べていくと、不老不死という説はデマということが分かりました。しかし、ロブスターには寿命がないのではと思わず思ってしまうほど、寿命が長いことは確かなようです。
2009年にはニューヨークのシーフードレストランが仕入れたロブスターの中に、約140歳と推定される重さ約9kgのロブスターが発見されています。
100歳を超えるロブスターは時々発見されるようですが、推定年齢140歳のご長寿ロブスターは世界的にも大変珍しいことから、世界中の人に注目されました。
そのロブスターは生きたまま海に戻されたので、今でも生きている可能性もあるのです。
その他不老不死が噂される生き物
寿命がないのではと噂されている生き物は、ロブスターだけではなりません。そこで、以下では不老不死と囁かれているロブスター以外の生き物も紹介していきましょう。不老不死に興味がある人は、ぜひ以下の生物をより詳しく調べてみてください。
①クマムシ
クマムシという8本足でゆっくり動く微生物も、ロブスターと同じく寿命がないという噂が流れている生物です。世界中に生息しているとされるクマムシは、理論上では乾眠という状態で半永久的に生き続けられると考えられています。
クマムシは乾眠状態になると、全ての代謝を完全に止めるので、飲み食いできなくても一切老化せず半永久的に生きることができです。しかも、乾眠中のクマムシは乾燥や高温、低音にもかなり強いので、環境の変化で死ぬこともあまりありません。
研究によって、体内の水分が3%になっても周囲の温度が氷点下から150℃ほどになっても、死なないことが証明されています。
しかし、体長が0.1~0.5mmととても小さいクマムシは、外部からの圧力に弱いという欠点もあるのです。そのため、乾眠状態に他の生物に押しつぶされて死んでしまいます。
圧力から身を守れる環境であれば、クマムシは本当に不老不死の生物になれるのかもしれません。
②ベニクラゲ
体の中心部分が赤く美しいベニクラゲも、不老不死説がある生物です。ベニクラゲは変わった生態のクラゲで、老化し体を維持することが難しくなると、「ポリプ」という幼体に戻ります。
臓器も丸ごと幼体に戻り、再び同じように成長していくので、老いで死ぬことはないと考えらえているのです。しかし、ベニクラゲは直径4~10mmほどと小型のクラゲなので、他の生物に捕食されてしまいやすく、不死とまでは言えません。
ちなみに、ベニクラゲの赤い部分は胃とされています。また、温帯や熱帯に属する地域の海に広く生息しているので、実物を観察することは難しくないでしょう。
不老不死が疑われる生物について調べてみよう
今回は、最近ネット上で注目されている、ロブスターの寿命がないという噂の真相に迫っていきました。外殻だけでなく内臓の脱皮も繰り返せたり、染色体のテロメアを長く保つことができたりといった特徴から、ロブスターは不老不死という噂が流れたようです。
ロブスターにも寿命はあるので噂はデマなようですが、約140歳のロブスターが実際に発見されているので、噂は真実味を帯びて広まりました。
今回紹介したように、ロブスター以外にも不老不死と疑われる不思議な生き物はたくさん存在しています。不思議な生物に興味が出てきた人は、ぜひ他の生物についても調べてみてください。